リアル×バーチャルが渾然一体となるカオス感 稀有なコラボが目白押しだった『KAMITSUBAKI FES ’23』DAY2公演
第二部、第三部は、バーチャルアーティストが次々と登場し、豪華なコラボステージが繰り広げられた。
花譜と明透が登場すると、ステージが一気に華やか。「DAY 2盛り上がってますか?」と呼びかけ、KAMITSUBAKI所属のボカロP廉の楽曲「始発駅、君を待つ。」を披露。心地よい明るさと爽快さあふれる歌声でデュエットを聴かせ、「次はあのユニットの二人が」と花譜。それを受け「あの方と歌います」と明透。そこにCIELと存流が姿を現し、存流と明透によるユニット・Albemuthと、CIELのコラボが実現。3人でAlbemuthの「幽ノ楽園」を披露した。淡く美しくもろさを感じさせるサウンドに、会場には青いペンライトの光とかけ声があふれる。3人は透明感あふれるボーカルを重ねながら、向かい合って手を伸ばし見つめ合った。
「ここからは私たち二人が」と、春猿火と梓川がコラボで平田義久の「日本の夏」を聴かせた。梓川の熱いボーカルと春猿火のラップが交錯し、会場の熱気も相まって豊洲PITはまるで熱帯夜。二人の絶妙なフェイクが入り乱れ、実にソウルフルなボーカルに会場が沸いた。
続いて「バーチャルロックシンガーの」と紹介され幸祜が登場。疾走感あふれるナンバー「TIME」を、VALISの6人とのコラボで繰り広げた。バーチャルとリアルの両方で活動するVALISは、ステージの上下に分かれてダンス。「いくぞ!ワンツースリー」のかけ声で、観客が一斉にクラップし、「いいね!」と嬉しそうな表情の幸祜。VALISの魅惑的なパフォーマンスも加わり会場はきらびやかに華やいだ。
第二部の最後は、ヰ世界情緒と跳亜が、香椎モイミの「ガーネットの涙」でコラボを展開した。クラシカルなサウンドとメランコリックな雰囲気が融合した同曲。ヰ世界情緒の儚く力強いボーカルと、跳亜の伸びのあるハイトーンが重なり、甘く混沌とした愛の世界が繰り広げられた。
第三部には、花譜、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜、理芽によるユニットのV.W.Pが登場した。しかし理芽はアメリカに語学留学中とのことで、ビジョンに「イベントが大成功するように祈っています。あたしの代わりにあの子がピンチヒッターです!」と、理芽からのメッセージが流れる。理芽の代役は、もちろん理芽の音楽的同位体 裏命。花譜の「魔女」に続く楽曲「祭壇」を5人で歌唱し、会場には感動が広がった。次にCIELを加え、6人で歌ったのはアニメ『マブラヴ オルタネイティヴ』オープニング主題歌「輪廻」。熱いロックチューンに、かけ声をあげながら拳を振り上げた観客に、「もうすぐKAMITSUBAKI FES終わっちやいますよ。そんなんでいいんですか? 最後まで盛り上がれますか!」と、さらに観客をたきつけた。
「ラストはあの2人によるコラボレーションです」と紹介され登場したのは、カンザキイオリと花譜。二人で歌ったのは、カンザキイオリの「あの夏が飽和する」。第一部での弾き語りとは一転、ピアノをメインにしたバンドサウンドが熱く鳴り響き、カンザキのエモーショナルなボーカルと花譜の儚げだが人を引きつける歌声が重なった。「最後に二人でこの曲を。せーの!」と声を合わせて叫んだタイトルは「狂感覚」。作詞・作曲をカンザキが手がけて花譜に書き下ろした同曲。静かに聴き入る観客。声を震わせながら、泣き叫ぶように歌った二人。まるで晩夏のような名残惜しさが会場を包み込み、イベントが締めくくられた。
いつもはネットで聴いていたアノ曲たちが、生のバンドサウンドとともに目の前で繰り広げられた同イベント。胸の奥をかきむしるように、琴線に触れた生々しい楽曲の数々。孤独と孤独が共鳴して生まれた大きな共感が、豊洲PITを埋め尽くした。
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