LAGHEADSが示す、インストバンドのニュースタンダード 2ndアルバム参加陣全員を招いた賑やかなリリースパーティー
グッとメロウなイントロを奏で始め、HIMIが呼び込まれ、その声だけで凄まじいカリスマ性が立ち上がる「だきしめたいよ」。HIMIにとって初めての日本語詞はLAGHEADSでの共演な訳だが、シンプルな言葉が彼の表現の純度の高さにハマっていて、ボーカリストHIMIの才能を最も凝縮できていると思うのは自分だけではなかろう。ちなみにMELRAWが突如コーラスとして情感豊かにアクション付きで歌っていたのは前ライブ同様のお約束。さらにグッとテンポを落とした神聖ささえ漂う美しい「またね」。宮川のウォームなオルガンがHIMIの声に寄り添う。フロアは歌を含む音に揺られて静かにうねっている。HIMIの単独公演もぜひLAGHEADSで見たいと思わせる相性の良さだった。
すっかり心身ともにとろけたところで、伊吹がスネアを交換しているのが見え、サウンドの細部への配慮に感動していると、最後のゲストであるマハラージャンがストラトキャスターを携えて現れ、「そろそろ踊りたくないか? その濡れた心で!」と流れを汲みつつ、割とアグレッシヴに挑み、自身のレパートリーの中から「君の歯ブラシ」を披露。小川はマハラージャンのツアーサポートもしているだけあって、ツインギターも馴染んだもの。そしてゲストにも関わらず、自身のメジャーデビュー3年目突入を知らせ、コロナ禍の最中にデビューしたせいで、声出しありライブがこの日初めてだと感動。彼のワンマンショーめいてくる押しの強さはラストナンバーの曲振りにまで及ぶ。山本が「俺、それ言いたかったんだけど」とこぼす中、「では最後の曲、聴いてください。『聴かないで、ゼッタイ』」と、美味しいところを全部持っていくマハラージャン。ここまでグルーヴィなアンサンブルでライブを構築してきた最後に70年代MTVロックというか、ハイスクールバンドのようなムードで大団円を迎えたのが、LAGHEADSというバンドとコミュニティのユーモアセンスを象徴していた。
アンコールは1stの「What is “LH”?」から始まり、LAGHEADSの看板曲kiki vivi lilyの「Try」、次にHIMIの「Simple Song」というファンにはたまらない流れとなった。最後にはゲストも全員登場し、肩を組んでの猛烈に仲のいいヴァイブスが横溢。だが、収まりがつかないMELRAW、「こんなん全然足りないよ!」と、メンバーの名前をコールするアドリブでもうひと盛り上がり山場を作っていた。
LAGHEADS結成のキーパーソンの思いはファンも同様だった様子で、高い熱量をステージに送り込んでいた。もはやインストバンドというより、彼らが出すサウンド、プレイは歌と同じぐらい記名性が高く、人と人のアンサンブルを求めるリスナーの多さを目の当たりにしたライブでもあった。今後このコミュニティがどう拡張し、誰と響き合うのか? さらにJ-POPのニュースタンダードなサウンドとして定着していくのかも、楽しみでならない。
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