MY FIRST STORY、バンドとファンが改めてひとつになった47都道府県ツアー初日 MCなし、ノンストップで駆け抜けた80分

 コロナ前に戻ってきたと感じていた矢先、今までにないマイファスを観た。それが中盤で投下された「Listen」だ。マイファスが1月から開始した12カ月連続リリースの第2弾の新曲である。映画の始まりかのような壮大なSEの後に、曲のイントロとなる力強いラップが披露し、繊細なメロディラインに繋げていく。どっしりと重いバンドサウンドと、それに対比するような美しい歌声が会場に響いた。踊らせるほどのアップテンポではないが、しっとり聴かせるバラードでもない。そんな絶妙なラインのミドルテンポナンバーで、一瞬にしてリスナーの目と耳を引きつける絶大なオーラがある。デビューから10年以上が経ち、ラウドロックからバラードまでさまざまな楽曲を届けてきた彼らだが、「こんなマイファス、観たことない」と思わざるを得なかった。

 バンドの新しい一面を見て圧倒されながらも、怯んでいる暇はない。その後も休む間もなく、アグレッシブな「大迷惑」へと展開。Nobの巧みなスラップが光るベースソロも見事だ。「この世界で僕の愛が伝わる人は間違いなくお前らしかいないだろ!」とリスナーへのラブコールが届けられた「この世界で一番の幸せ者にはする事など出来ないかもしれないけど…」や、Kid'zのテクニカルなドラムソロを披露し、あっという間に終盤へ。

 

 ノンストップで1時間以上パフォーマンスを続け、メンバーもリスナーも相当エネルギーを消費しているはずだ。しかし、誰も疲れた表情を見せないどころか「ここから激しくなります」と宣言。オーディエンスも止まらないマイファスメンバーに食らいつき、手を上げながら身体を揺らし続ける。そして「不可逆リプレイス」や「REVIVER」といったキラーチューンで、この日一番の盛り上がりに。Teruもキレのあるギターを響かせつつ、合間には手を高く挙げてオーディエンスと絆を確かめあうように顔を合わせる素振りも。そして最後に「ALONE」を歌い終えると、メンバー全員が持っているものを全部出し切ったと言わんばかりの表情を見せた。約80分、正真正銘ノンストップで駆け抜けたライブだった。

 ひたすらに楽曲を届け、歓声やシンガロングありのワンマンライブをどれだけ待ち望んでいたかが痛いほどに伝わってきた本ライブ。まとまったMCの時間はなかったものの、「3年間待ってようやくここまで辿り着くことができました、最後まで一瞬も気抜くなよ!」「お前ら最高に愛してるよ!」「俺らは逃げねえからかかってこい、Zepp Haneda!」といった、愛と楽しさが溢れる掛け声が多く、これぞライブバンドの真骨頂だと強く感じる一夜だった。マイファスはこれから約8カ月かけて残りの46道府県を廻っていく。毎月の新曲リリースも控えている彼らは、ツアー中もどんどん進化していくのだろう。

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