ドラマ『星降る夜に』主題歌で話題の由薫にインタビュー 音楽活動を通して気づいた自分を表現するということ
恐れずにいろんな種類の音楽、いろんな種類のメッセージを出していきたい
――2月8日に配信リリースされる最新曲「星月夜」ですが、こちらはテレビ朝日系ドラマ『星降る夜に』の主題歌。どのように作られたんですか?
由薫:実は、ドラマ主題歌のお話をいただく前から、すでにデモとしては存在していて。元々は英語の曲だったんですよ。Toruさんも私も、みんなの中でも「いい曲だよね」と言っていて。その後私の声やこれまでの楽曲を好んでくださったドラマのプロデューサーさんにその英語のデモを聴いてもらったら、すごく気に入ってくださって。そしてプロデューサーさんから「日本語の歌詞にすることは出来ますか?」というオファーをいただき歌詞をイチからトライしたんです。
――ほとんど英語だった歌詞を全部日本語にした。
由薫:そうなんです。それによって曲のメッセージが180度変わったというか、元の歌詞は冷たい中に沈んでいくような内容でした。だけどドラマの企画書や台本を読ませていただく中で、いろんな登場人物がいて、それぞれに体験したことが違うけど、共通するのが大きく言えば愛だと思いました。それならば冷たく沈んでいく歌詞ではなくて、ドラマに寄り添った歌詞に全部書き直そうと思って「星月夜」ができました。
――一度歌詞のイメージが固まっていた上で再び内容を変えるのは、ゼロから歌詞を考えるよりも大変な気がするのですが、実際はどうでしたか?
由薫:言語によって性格の違いがあって、英語を喋る時と日本語を喋る時で、私の性格もちょっと変わってくる。そういう意味で、今回は英語から日本語という違うチャンネルだったからこそ、スパッと割り切って書けたのがあります。やっぱりメロディとか構成自体の素晴らしいので、日本語に変えたことでデモとは全然別の引き出し方というか柔らかさみたいなものが出てくるなと思って。大変ではありつつ、楽しんで書くことができたと思います。
――今回はドラマの内容を踏まえて歌詞を書いたということですが、一番ヒントになったものってなんでしょう?
由薫:とにかくドラマの企画書に大変感動しまして。読んでいてすごく素敵なメッセージが書いてあったんですよ。それこそ『星降る夜に』で北村匠海さん演じる柊一星は、生まれつき聴覚を持たない青年。とはいえドラマを観ても、聴覚を持たないことの重さは感じにくいと思うんですよね。
――情報としては受け入れられるけど、それがどういう感覚なのかは分からないですよね。
由薫:それが悪いわけじゃなくて。「みんな違うのが、世の中で当たり前になってもいいんじゃないか」ということが企画書に書いてありました。人の数だけ、当然いろんな思いがある。今の時代のドラマってそういうことを当たり前に描くべきなんじゃないか、と。とにかく強い意志を感じる企画書で、なんて素敵なんだと思って。登場人物それぞれが違うので、楽曲もそれぞれが聴いてくださった時に、ちゃんとその人に合うような曲にしたかったんです。自分一人の身から出ただけではなくて、ドラマや企画書のそういう思いを受け取ってイメージが膨らんでいきましたね。
――「みんな違っている。それを認める社会でいいんじゃないか」というのは、まさに由薫さん自身がスイスから日本に戻った時に感じたこでもありますよね。
由薫:本当にそうですね。昔の私は、自分を変えることに必死だったんですよ。だけど、そもそも変える必要ってあったのかなとか。周りと違う自分も尊重できたら良かったなっていうのは思ったりして。だからドラマの曲でもあり、もちろん自分の曲でもある。実際に子供の頃、空を見上げて〈あの一つ一つに誰かの願いがこもっている〉というのは、私が幼少期によく考えていたことなので、結果的に納得のいく歌詞が書けたなと思います。
――ドラマの主題歌としてハマっていることはもちろん、由薫さんのこれまで過ごしてきた人生を振り返っても、この曲にはドラマを感じるんですよね。最初に触れさせていただいた「170」で〈四角い空にはもう飽きた〉と言ってた人が、「星月夜」では〈星降る夜にただあなたに会いたい〉って、全く違う感情になってるわけですから。
由薫:ああ……それを言われてすごく感動しちゃいました。同じ空でも見えていることや感じ方が変わってるわけですもんね。確かにおっしゃる通りだなって思います。
――由薫さんの音楽は、楽曲を並べた時に点と点が繋がっている感じがするんですよね。
由薫:ありがとうございます、嬉しいです。自分はいろんな曲が好きだし、いろんなジャンルをやっていきたい思いもあって。一時期はそこが定まらないのってどうなんだろうと悩んだりもしたんです。でもやっぱり私という一つの箱の中にいろんな音楽だったり、いろんな出来事を詰めていった時に出てくるものって、結局私でしかないなって。なので恐れずにいろんな種類の音楽、いろんな種類のメッセージを出していこうって自分の中で思ったので。そんな風に客観的に言ってもらえて、すごく嬉しいです。
――ドラマの中でご自身の曲が流れた時には、どんな感情になりましたか。
由薫:予告の時から曲と映像のハメ方が素晴らしくて、音楽をすごく大切にしてもらってる感じがしました。第2話なんて曲がフルでかかっていたんですよね。ドラマの内容や登場人物の思いを込めた曲が、あんなふうに直接的な形でドラマと接するって、何とも言葉にしがたい感動で。本当に嬉しかったですし、最終話まで曲をかけていただけるわけじゃないですか。楽曲の新たな側面も物語が進むたびに見えてくるでしょうし、本当に嬉しいです。
――そんな由薫さんは、3月に世界最大規模の音楽祭『SXSW 2023』に出演されます。今のお気持ちはどうですか?
由薫:アメリカは自分のルーツの一つでもあると思っているので、久しぶりにアメリカに行けることがすごく嬉しいです。その上なんと今回は音楽をお届けするということで。どんな方が聴いてくれるのかわからないですが、音楽は言語が違っても繋がれるのが良いところだと思うんです。その力を試せる初めてのチャレンジになるので、どんな風に関わっていけるだろうってすごく楽しみにしています。
■リリース情報
「星月夜」
テレビ朝日系ドラマ『星降る夜に』主題歌
発売日:2月8日(水)配信リリース
https://lnk.to/hoshidukiyo
■『星降る夜に』公式ホームページ
https://www.tv-asahi.co.jp/hoshifuru_yoruni/
【由薫 関連サイト】
オフィシャルサイト:https://yu-ka.jp/
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