ケンドリック・ラマー、カーディ・B&ミーガン・ザ・スタリオン、Metallica……時代を動かしたグラミー賞のパフォーマンス
カーディ・B&ミーガン・ザ・スタリオン(2021年)
現代ヒップホップの女王である2人によるパワフルなパフォーマンス。女性の自由とエンパワーメントについて力強いメッセージを発信した「WAP」のリリックには批判も寄せられたが、それについてミーガンは以下のように語っている。
「女性が性や、自分の身体の主導権を握ることについて、どうしたらいいかわからなくなっている男性たちがいる。批判している男性たちは長い間、自分が性の主導権を握っていたと感じていて、女性たちが今『これは私のもの。私は喜びが欲しい。私が求めているのはこれで、求めていないものはこれ』と要求していることについてパニックになっているのではないだろうか。批判は、恐れや不安から来ているんだと思う。私の“WAP”になんで腹を立てるの? そもそも私の身体なのに」(※3)
また、カーディ・Bの夫でもあるオフセット(Migos)は、「ラッパーとして、俺たち男も同じようなリリックをラップしている。男が女性について論ずることはできない。彼女たちは力強い。そもそもあの曲には女性のエンパワーメントが込められているし、それを拒否してはいけない」(※4)とコメントしていた。
リル・ベイビー(2021年)
2020年にリリースしたプロテストソング「The Bigger Picture」を披露したリル・ベイビー。ジョージ・フロイド氏の殺害事件、警察による不当な暴力、そして人種差別的な社会システムについて訴えた曲であり、2020年の最も重要な楽曲と言っても過言ではないだろう。リル・ベイビーの他には、活動家のタミカ・マロリーとキラー・マイク(Run The Jewels)がゲスト出演している。
プリンス&The Revolution(1985年)
1984年にリリースされた映画『Purple Rain』と同名のアルバムが大ヒットしたプリンスは、1985年に収録曲「Baby, I’m A Star」を圧巻のパフォーマンスで披露。以前「印象的な『スーパーボウル』ハーフタイムショー」について書いたとき(※5)、プリンスのパフォーマンスを紹介したが、世界屈指のパフォーマーであるプリンスのライブ映像は必見である。また、プリンスのパフォーマンスを紹介した当時のレコーディング・アカデミーの代表 マイク・メルヴォワンは、プリンスのギタリストであるウェンディ・メルヴォワンの父親であった。
以上、印象的な歴代グラミー賞パフォーマンスを紹介したが、他にも、アンダーソン・パークやバスタ・ライムスとトランプ元大統領に抗議をしたA Tribe Called Quest(2017年)、「I Will Always Love You」で世界最高峰の歌を披露したホイットニー・ヒューストン(1994年)、エルトン・ジョンが「新時代のゲイアンセム」と評価したレディー・ガガの「Born This Way」(2011年)など、歴史を動かした名パフォーマンスが多く存在している。今年のパフォーマーにはハリー・スタイルズ、バッド・バニー、メアリー・J. ブライジ、ブランディ・カーライル、ルーク・コムズ、スティーブ・レイシー、リゾ、キム・ペトラス、そしてサム・スミスが決定しており、世界中の音楽ファンから注目が集まっている。
(※1)https://realsound.jp/2023/01/post-1232879.html
(※2、筆者訳)https://www.udiscovermusic.com/stories/stevie-wonder-you-havent-done-nothin-song/
(※3、筆者訳)https://www.gq-magazine.co.uk/culture/article/megan-thee-stallion-interview-2020
(※4、筆者訳)https://youtu.be/1o_eqzQZFx4
(※5)https://realsound.jp/2023/01/post-1243942.html
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