即戦力揃う乃木坂46、地方出身者多い日向坂46、エモい施策を打つ櫻坂46……新期生の傾向から紐解く3坂道の現状

 乃木坂46、櫻坂46、日向坂46の3坂道すべてのグループが、新期生を迎えて新たなステップへと踏み出した。2022年2月の加入からいち早く活躍を見せる乃木坂46 5期生や、同年9月に加入し、お見立て会を控える日向坂46 四期生、2023年に順次発表されている櫻坂46 三期生と、各グループにあわせた個性豊かなメンバーが揃っている。本稿では、グループそれぞれの新期生の傾向から3坂道の現在について紐解いてみたい。

即戦力の新風揃う乃木坂46

 乃木坂46 5期生は、加入当初から洗練されたメンバーが多く、ビジュアル一つとっても井上和のようなモデル系から、五百城茉央のような癒し系、中西アルノのようなクールさを持つメンバーなど、バランスの良さを感じさせる。それは歌唱力やダンスに関しても同じで、これまでのように素朴なメンバーが加入して、ファンが推しを育てていく感覚ではなく、即戦力にもなるメンバーが結集した印象だ。

 昨年12月4日に放送された『乃木坂工事中』(テレビ東京)で1期生の齋藤飛鳥(現在は卒業)は「5期生は別人類って感じがする」と表現し、「3期とか4期とかもちろん2期もどこかに絶対乃木坂らしさって大きくあったけど、5期はなんか、超良い意味ですけど完全に“新しい風”って感じ」と評した。そういう意味でも5期生は、これまでファンがイメージしてきた“乃木坂らしさ”という固定観念を破壊することが可能なメンバーが集められたのかもしれない。

 プロデューサーである秋元康はラジオなどで“乃木坂らしさなんてない”と発言している。しかし、加入直後の中西がセンターを務めた29thシングル曲「Actually…」は、乃木坂46の歴史の中であまり見られなかったクールで挑戦的な楽曲に仕上がっていた。2021年に結成10周年を迎え、1・2期生が卒業していく過渡期の中で、グループに新しい風を取り入れるというのは当然とも言える。

 2023年にキャプテン 秋元真夏の卒業が決定し、1期生全員がグループを後にする。それは、在籍メンバーと卒業メンバーが残した輝かしい思い出との戦いをも意味するだろう。様々なドラマと感動を生み出してきた過去を超えるのは困難な道とも言えるが、そこで5期生がグループの起爆剤となっていくのは間違いない。

地方出身者が多い日向坂46

 日向坂46 四期生は、地方出身者が多い印象だ。一期から三期生は、関東圏出身者が過半数を超えている一方で、四期生は12人中8名が地方出身者となる。竹内希来里が広島、平岡海月は福井、藤嶌果歩は北海道、山下葉留花が愛知、小西夏菜実と正源司陽子が兵庫、平尾帆夏が鳥取、渡辺莉奈が福岡と、全国各地に散らばっているのも特徴的だ。

 日向坂46の冠番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)は関東ローカルで放送されており、全国に配信されているひかりTVは有料コンテンツとなるため、まだまだ全国に認知を広げる余地は十分にある。また、上京してきたメンバーが東京で奮闘するドラマ性も一つの魅力だろう。早くも、坂道グループ初の北陸地方出身である平岡が加入した際に地元である福井放送のニュースで紹介されたほか、日向坂46から2人目となる鳥取出身の平尾もNHK鳥取に取り上げられていた。

 過去には埼玉出身メンバーが地元愛を語ったことがきっかけとなり、地元企業のベルクがスポンサーを務めるラジオ番組『ベルク presents 日向坂46の余計な事までやりましょう』(TOKYO FM)がスタートしたことや、山口出身の河田陽菜が「山口ふるさと大使」に就任するといった実績もある。

 日向坂46の等身大で親しみやすいグループカラーは、万人に愛されるアイドル像であり、老若男女と関わり合いを持つ地域活性化との相性も良いだろう。2021年には『全国おひさま化計画』というタイトルを冠したアリーナツアーを行っていたが、ライブ開催という観点でも新期生の加入で五大都市を有する県や広島を抑えられたことは大きい。

 また、四期生が『レコメン!』(文化放送)にリレー方式でゲスト出演した際は、初めてのラジオ出演であるにも関わらず、一人ひとり危なげなくトークをこなしたほか、同期でのチームワークの良さも感じられた。四期生の合宿も行われたようだが、その成果が早くも表れているのだろう。また、石塚瑶季が四期生トップバッターで「SHOWROOM」初配信を行った際も、リスナーを1時間飽きさせないトーク力を発揮。日向坂46に求められるバラエティの素質も十分持ち合わせていると感じさせた。

 2022年は悲願だった東京ドーム公演を行った日向坂46だが、現在はファンの裾野をより広げる地固めの時期に入ったのかもしれない。

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