FLOWからAimer、SawanoHiroyuki[nZk]、LiSAまで集結! レーベル設立5周年記念『SACRA MUSIC FES.』レポ

ReoNa

 休憩を挟み、後半戦のトップバッターを務めたのはReoNa。代表曲「ANIMA」「Alive」を熱唱し、タイアップになった作品に心を寄せるからこそ発揮される表現力と、巧みに活かされた声の良さで会場を釘づけにする。最後はダークな雰囲気ながら、タップやラインダンスを取り入れたパフォーマンスが楽しい「シャル・ウィ・ダンス?」で魅せ、ステージを後にした。

 三月のパンタシアは「青春なんていらないわ」と「四角運命」を繊細に歌い上げた。透き通った独特な歌声で、ヒリヒリとした歌詞の世界が描かれていくステージに圧倒された人も多かったのではないだろうか。藍井エイルは最新曲の「心臓」、「HELLO HELLO HELLO」、「I will…」と趣の違う人気楽曲を、それぞれ表情豊かに表現。王道とも言えるまっすぐな歌声と見事な歌唱力はもちろん、楽曲の持つさまざまな側面をステージ上で次々と表現していく巧みさも、さすがの実力と言えるだろう。

三月のパンタシア

 『第73回NHK紅白歌合戦』への初出場でも話題となったAimerは、黒いドレスに身を包み「残響散歌」を歌唱。その歌声で場を支配する。美しさと激しさを携え歌われた「朝が来る」では、ペンライトを大きく振り盛り上がりながらも、音に没入し聴き入る観客の姿が印象的だ。最後は「SPARK-AGAIN」と、終始激しく熱いライブ映えするナンバーで魅了した。

 次に登場したのはClariS。前クールで大きな話題となった「ALIVE」では、アニソンらしさ全開の楽曲を美しいハーモニーと息の合ったダンスで魅せる。続いて「コネクト」の歌い出しが始まると、客席からの大きな期待に、手拍子が鳴り始める。しなやかで美しいステージは多くの人の心をつかんだことは間違いない。すると、ステージ上に5つのシルエットが浮かび上がる。ClariSとTrySailによるコラボ楽曲「オルゴール」が、ステージ上で完全な形で披露されたのだ。双方のファンのみならず、多くの観客がその実現を大いに喜んだことだろう。5人がそれぞれ心からの笑顔を向け合うシーンは印象的なものであった。

 ライブの最後を飾るのは、澤野弘之によるボーカルプロジェクト・SawanoHiroyuki[nZk]。SennaRinを迎えての「βios」、Lacoを迎えての「Hands Up to the Sky」、そしてReoNaを迎えての「time」と、様々な色を持った楽曲をディープに奏でていった。美しいグランドピアノの音色と、重さと分厚さで胸を打つバンドの演奏に、女性ボーカリストたちの個性が合わさり、観客の心も“音楽”という一点に回帰するように惹きつけられていく。最後に登場したのは、澤野とも縁深いAimerだ。二人が出会って10年、さらに3年ぶりのステージでの共演ということで、期待感が高まる中、告げられたラストナンバーは「RE:I AM」。客席からの抑えきれない喜びのどよめきと共に曲が始まると、その美しい化学反応にボルテージは最高潮に達した。音楽によってすべてが語られ、その想いが観客に真っ直ぐ届くようなパフォーマンスは、まさにフィナーレにふさわしいものとなった。

 アンコールの後、シークレットアーティストとして登場したLiSA。「炎」を音楽への情熱と共に歌い上げ、幕張メッセを力強い声で包んでいく。最後には「皆さんの未来にたくさんの最高な日がありますように!」と、笑顔で力強いメッセージを放ち、2日間の『SACRA MUSIC FES.2022』をしめくくった。

LiSA

 声優アーティストやアニソンに特化したレーベルらしく、物語の世界観を表現することに長けたアーティストが集った本イベント。照明や透過性LEDモニターを駆使した映像による演出や、バンド演奏も圧倒的な迫力であった。今回のライブパフォーマンスは、フェスならではの豪華コラボを含め、レーベルを介して新たな音楽と出会える最高の機会となったことだろう。作品やファンに寄り添うアーティストを擁する<SACRA MUSIC>レーベルが、設立から5年という月日を経て、アーティストそれぞれの強い個性が輝きを放ち、多様なジャンルの音楽が創り出される最前線であることを確かに示したフェスだった。

LiSA、音楽番組での「炎」「一斉ノ喝采」の歌唱から感じたふたつのルーツ 2022年の活動で見せたロックシンガーとしてのあり方

12月7日放送の『2022FNS歌謡祭』(フジテレビ系)第1夜で、LiSAが「一斉ノ喝采」と「炎」の2曲を披露した。ABEMA・…

PENGUIN RESEARCHのライブが支持を集める理由 開催中のツアーを機に考察 

2015年に結成された5人組ロックバンド、PENGUIN RESEARCH。フェスやイベントのタイムテーブル、各種音楽メディアの…

関連記事