コロナ時代に誕生した謎の覆面バンド Crab 蟹 Clubとは何者? 環境に左右されない新時代の柔軟な音楽作り

コロナ世代だからこそ出来たリモート楽曲制作

Crab 蟹 Club 2nd EP『蒐集家』クロスフェード

ーーリード曲の「百鬼舞踏」は新曲ですね。この曲はどのようなアイデアから生まれたのでしょうか?

KumoHana:最初は漠然と『千と千尋の神隠し』のような、ノスタルジックで日本的な世界に夢破れた男が迷い込んで……みたいな話、日本っぽいファンタジーを書きたくて、「踊り×妖怪×ファンタジー」というのが表向きのテーマですね。

 もう一つ、裏のテーマとしては、「息苦しく、鬱屈としたコロナ禍からの解放」です。〈漂流船の舳先で開いた門〉はダイヤモンドプリンセス号から始まるコロナ禍を表現していたり、〈息苦しくても鴉の面は外さないで〉はマスクの比喩だったり。細かいところまで歌詞を読んでいただくといろいろ散りばめられています。自分がコロナ禍で鬱屈としていた部分もあったので、それを曲で発散したという側面もありますね。

ーーコロナ禍の中で活動を本格的にスタートしたからこそ、今リモートで作業することに慣れているのかもしれないですね。KumoHanaさんは学生時代にコロナ禍の影響は受けましたか?

KumoHana:僕は大学4年の時にまる1年くらいコロナで自粛生活でした。バンドをがっつり始めたタイミングもそこだったので、家に籠ってパソコンで曲を作って、というスタンスは時代の流れに合ったというか。そういう意味では、メンバーみんなコロナ世代で、こういうリモートでの作り方を思いつくのは必然だったのかなと思いますね。

ーーEPのジャケットのイラストも素敵です。

KumoHana:これもfussoさんのイラストです。蒐集家の男が手に持っているのが、今回収録されている物語たちで、各曲のイメージを花言葉に乗せて描いてくれています。さらに奥にもまだ何枚もあるのですが、これは「数ある物語の中から4枚を、今回蒐集家がたまたま選んだだけで、これからもCrab 蟹 Clubは物語を作り続けていく」という意味が込められています。

ーー「百鬼舞踏」はMVも制作されているそうですね。

KumoHana:「アット・ザ・電脳シティ」のMVなんかは、fussoさんがイラストを描いて、はまーん。さんという映像クリエイターの人に動かしてもらう、というふうに作業をバラバラにやってもらっていました。その二人が最初から一緒にアニメーションを作るってなったらどうなるんだろう? ということで、「百鬼舞踏」のMVを二人に共作で制作してもらっています。fussoさんの「流れバス」のような手書き風のアニメーションに、はまーん。さんの3D的な動かし方と背景が合わさって、すごいクオリティの物ができあがっていて、めちゃめちゃ格好いいです。

百鬼舞踏 - Crab 蟹 Club【Music Video】

ーーEPのおすすめポイントをお願いします。

KumoHana:1曲1曲はバラバラのストーリーですが、1枚通すとまた違った聴き方ができると思います。既存曲が3曲入ってるんですが、各曲リマスターしてもらっているので、全く違った楽しみ方ができると思います。新曲もめちゃくちゃかっこいいので、ぜひたくさん聴いてもらえると嬉しいです。

ーーCrab 蟹 Clubとしてはまだライブをやったことがないそうですね。

KumoHana:Crab 蟹 Clubはライブ前提というより、音源をどんどん出して色んな人に聴いてもらうイメージで活動しています。ただ、軽音楽部の時はバリバリにライブをやっていたので全く抵抗はないですし、ライブをやりたいという気持ちはすごくあるので、来年どこかでやりたいなとメンバーで話し合っています。ただ、顔出してないので、どういう感じでやるか練っていかないとな、と。音源しか聴いたことのない人達をいかに楽しませられるか、自分たちの中で方向性が定まったらやりたいですね。

ーーライブ開催以外で今後やってみたいことはありますか?

KumoHana:イラストレーターさんやアニメーターさん以外にも、色んな属性のアーティストと組んで、これまで以上に物語に重きを置いた展開をしたいですね。また、何曲かボカロPさんに曲のリミックスしてもらったんですが、その際、バンドサウンドのみでは引き出せていなった楽曲の魅力がこんなにあったんだ、と衝撃を受けました。なので、いつか作曲の段階からボカロPさんに参加してもらって1曲作ってみたいです。

 あとは、やはり物語が好きなので、アニメとか映像のタイアップとかはめちゃくちゃやってみたいですね。できればいちから、「この作品のタイアップをやるんだ!」という気持ちで作らせてもらいたいです。物語さえあれば、いい楽曲を創る自信はあります!!(笑)

ーーバンドのみで完結しない、新しい音楽の作り方をされているなと感じました。

KumoHana:いずれはコラボした人がどんどんチームに入っていく……みたいな展開にも憧れます。チームには色んなクリエイターの方がいて、ひとつの曲をイラストやマンガ、アニメーション等色んな形に展開していくような、最高のチームを作りたいです。

ーー他の皆さんはどうでしょう?

龍登:今ドラムを作る時はパソコンなんですが、自分のスキル的にはギリギリできないようなものを制作段階ではつけていて、レコーディングの時点までに追いつくように練習を頑張っています。ライブをするようになった時には、それを追い越せるようスキルを磨きたいですね。

ナガオカ:今はとにかくバンドとしていいものができたらというのと、もっとワクワクするものが音源の形でもライブの形でもできたらいいなと思っています。

ーー最後に聴いている方へのメッセージをお願いします。

KumoHana:いつも僕たちの音楽を聴いてくださっている皆さん、本当にありがとうございます。自分の好きなカルチャーを通じて醸成された僕の感性が詰め込まれた曲を好きって言ってもらえるのは、自分の思想や趣味まで肯定してもらっているようで嬉しいです。感性の近い人が聴いてくれているんだろうな、と勝手に親近感を持っています(笑)。これからもファンの皆さんに好きと言ってもらえるような、そして何より自分が好きだと思えるような曲を作り続けていくので、期待してもらえると嬉しいです。

■リリース情報
2nd EP『蒐集家』
2022年12月7日(水)リリース
https://lnk.to/crabkaniclub_collector

<収録曲>
1.蒐集
2.アット・ザ・電脳シティ
3.百鬼舞踏
4.Nutting
5.流れバス

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