岸谷五朗、寺脇康文『Act Against Anything VOL.2』 エンターテインメントで勇気を与えた4年ぶりの有観客ライブ

 演劇ユニット「地球ゴージャス」のコーナーでは、三浦春馬の初舞台かつ初主演作となった「星の大地に降る涙」をはじめ、今年18年ぶりに再演された「クラウディア」、さらに「怪盗セブン」や「クザリアーナの翼」などこれまでの作品から楽曲が披露された。「クラウディア」は、サザンオールスターズの楽曲で構成された音楽劇で、大野拓朗、甲斐翔真、門山葉子、田村芽実など2022年版のキャストが「真夏の果実」や「匂艶 THE NIGHT CLUB」などを披露。また、『星の大地に降る涙』は、2020年に『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』として再演されながらも、新型コロナウイルスの影響によって千秋楽を迎えることができなかった経緯がある。岸谷と寺脇らが遠くを見据えながら歌ったテーマソング「愛すべき未来へ」は、これまで演劇/ミュージカルを支えてきた多くの舞台人の意思を受け継ぎ、未来へとつないでいくという強い意思が感じられ、ある意味でこの日『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』は千秋楽を迎えることができたと言ってもいいかもしれない。

 また、ミュージカルコーナーの後半では、世界中で上演されている人気ブロードウェイ作品の日本版キャストたちによって、圧倒的なステージが繰り広げられた。地球ゴージャスのプロデュースで昨年上演された「The PROM」からは、三吉彩花がゲストで登場。TAKE(Skoop On Somebody)らと共に、ブロードウェイの華やかな世界が体現された。昨年スティーヴン・スピルバーグの監督でリメイク版映画もヒットした「ウエスト・サイド・ストーリー」からは、マリア役の田村芽実が甲斐翔真と名曲「Tonight」を披露。「ロミオ&ジュリエット」からは、ロミオ役・大野拓朗が清水くるみと「バルコニー(愛の誓い)」を披露。そして、三浦春馬がローラ役を演じたことでも知られる「キンキーブーツ」からは、チャーリー・プライスを演じた小池徹平が登場。「Raise You Up/Just Be」などを歌い上げ、会場をハッピーオーラで包み込んだ。わずかな時間ながらブロードウェイミュージカルの神髄を見せつけた役者陣。その圧倒的な演技力と歌唱力に、観客は魅了されっぱなしだった。

 最後にDEAN FUJIOKAが登場。まずは7月にリリースした新曲「Apple」で、ダンサーを従えたバキバキのダンスを披露する。重低音のビートに合わせてラップを響かせるステージングで観客を圧倒した。続いて2016年にリリースした「History Maker」で世界観は一変。スケールが大きく流麗なサウンドと共に、力強いボーカルが会場を埋め尽くす。DEANは両手を広げて、世の中の全ての声を自分が全て受け止めてみせるといった雰囲気。間奏で「ここでスペシャルゲスト」とMIYAVIが呼び込まれると、会場が一気に沸き立った。黒いスーツ姿のDEANと対比するように、MIYAVIは白いスーツに身を包んで超絶なギター演奏を披露。2人が背中合わせでプレイする姿は実に格好よく、そのスケールの大きさに圧倒された。最後に力強く握手を交わした2人。代わってMIYAVIのステージでは、指で弾くタッピング奏法とラップで聴かせる「STRONG」と、まるで大地を踏みならすような力強さを持った「The Others」を演奏。「差別や貧困などまだまだあるけど、子どもたちに明るい未来を!」とコメント。岸谷と寺脇も「すげえ~!」とMIYAVIのパフォーマンスを絶賛した。

 最後は恒例となったオールキャストによる「一人じゃないから」を、観客も手を左右に揺らしながら心の中で一緒に歌ってイベントを締めくくった。「皆さんの顔を観ながら、この曲が歌えてうれしい」と岸谷。

 岸谷は開演前の会見で「出演してくれるメンバーとお客様に触れ合ってもらうのが、一番大事なこと。チャリティをしてもらうのに無観客という虚しい思いを前回の武道館で経験したので、何とか最後まで完走できれば」と語っていた。寺脇も「まだまだマスクを着けて拍手だけの応援なので、本来の応援の仕方ではないにせよ、一歩従来のようなお客様と一体化するというものに近づける日になればいいと思っています」とコメントしていた。蓋を開けてみれば満員御礼で、非常に温かみのある、ステージと客席が一つになったことを感じたイベントになった印象だ。また、子どもたちを支援するためのチャリティでありながら、同時にコロナ禍で疲弊したコンサートやミュージカルなどを支える舞台人にとっても、きっと勇気を与えてくれるものでもあったに違いない。

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