「大阪・関西万博ラッピング列車」テーマソングでも話題 株式会社ロブ 香山達也が語る、大阪からアジアへ向けたエンタメの発信

株式会社ロブ 代表インタビュー

コロナ禍で徹底した「ピンチをチャンスに」という言葉

万博カラー!EXPO TRAIN 2025 大阪モノレール号 出発式【公式】

ーープロデューサーとして心掛けたことは?

香山:サビでメインを歌ってるメンバーのソロ要素が強かったので、みんなで歌ってる感じに聴こえるようなミックスに変えました。あとはイントロや間奏部分もそうなんですけど、ギターの音だけでやってしまうと少し寂しく感じるから、ピアノでリズムを出してポップな雰囲気を感じてもらえるようにして。大サビに向かう直前のハーモニーは開けた印象になるようにしています……細かく言ったらもっといっぱいありますね(笑)。

ーー歌詞に関しては、大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」も踏襲されていますね。

香山:大阪に拠点を構えてエンターテインメントの業界にいる身として、音楽で人にハッピーや笑顔を届けるというテーマの中で、大阪・関西万博の大きなコンセプトでもある「人を繋ぐ」であったり、今仰った「いのち輝く未来社会のデザイン」の部分であったりは、弊社の企業理念の「想像を融合」にリンクしていると感じています。ちょっと踏み込んだ話をすると、ここ2、3年の状況下で世界情勢や日本国内の現況において、暗い話題やニュースもたくさん増えている。僕は人にとって衣食住、教育福祉、その下に娯楽があると思っていて。娯楽がなくなってしまったら楽しくないと思うんです。そういった面でも、大阪・関西万博が開催されることを強く願っています。日本人とか何人とか関係なく、人と人が繋がるきっかけになるような、楽曲になるんじゃないかなと。そうなればいいなという願望もありますし、それを実現するのが自分たちの使命。そこまで言ったらおこがましいですけど、そう思って取り組まないと意味がないなと強く感じています。

ーーYouTubeのコメント欄を見ていても、皆さん「幸せな気持ちになれた」と書き込みをされていますね。

香山:もちろん自信を持ってお届けしているんですけど、想像以上にご反響いただいてますね。「EXPO TRAIN 2025 大阪モノレール号」出発式セレモニーで僕も登壇してスピーチさせていただきまして。吉村洋文知事は僕が大事にしている理念や想いもそうですし、「We are」に大阪・関西万博や大阪のテーマもメッセージに入れさせていただいてる話もしっかり聞いてくださり、お褒めの言葉もいただきました。もちろん弊社のアーティストのファンの方々もいらっしゃったんですけど、とにかくたくさんの方からすごく好評を得られたのは安心しましたし、素直に嬉しかったですね。

ーー改めて地元・大阪の大きなプロジェクトに関わることについて、率直なお気持ちを教えてください。

香山:大阪に生まれ育って、二十歳から音楽人生が始まって、7年前の32歳でロブという会社を起業して。自分がアーティストをプロデュースし、楽曲の制作とリリース、数々のイベントも作って。まさに今のような「オールインワンの会社を作りたい」というところから始まったわけですが、常にその時々で見えていないことを言葉にする癖があるんです。例えば起業1年目で「3年目までに売上を1億円を作る」とか。でも、その時は「どうやって作るの?」と周りから疑問がられるようなことも「作れる」って自分の中で根拠のない自信がありました。そうやって、常に言葉にして自分を奮い立たせてるところがあって。このタイミングで大阪・関西万博が決定をして、これは大阪に生まれ育った身と言いますか、自分の信念やモットーも含めて、絶対何かしなきゃいけないって本当に思っていた中で、大阪モノレールさんとご一緒する機会をいただいて。そこからイメージソングを制作させてもらえることになり、セレモニーでは行政のお偉い方にもご挨拶させていただいて。自分が同じステージに立つ人間なのか? と思った瞬間も正直ありました。でも従業員、アーティスト、ファンの皆様の顔が見えた時に「いや、俺は立っていい人間やな」と勘違いでも何でもいいから思えた。それは自分のためというよりは、自分の周りにいる人を幸せにできない人間が、世の中の人を幸せにすることはできないと思ったからなんです。

ーー飛躍した解釈かもしれないですけど、今日はインタビューを聞かせていただいて「We are」は香山さんの曲にも感じたと言いますか。

香山:そうですね。僕は1人では生きていけないと思っているんです。よく「経営者は孤独だ」なんて言われますし、その意味も経営者になってすごく理解もできた上で、僕らの仕事はアーティスト、スタッフもそうですけど本当に全員一丸でやるんですよ。言ってしまえば家族みたいなものだと勝手に思っていて。自分の家族が腹減ってるんやったら飯食わそうとか、家族が怪我してるんやったら治療しようとか。そこに何か見返りを求めることもないですし、だからこそ本気で向かい合って、本気で幸せを届けることをしたい。弊社のアーティストにしても、音楽を聴いてくださる皆さんに対して、僕と同じ気持ちをみんなも持ってくれてると思うんです。その延長上に「We are」はあるかもしれないですね。自分がこの業界でやってる意義や意味みたいなものって、承認欲求的な意味合いではなくて。最終的にはもちろん自分のためではあるんですけど、自分のためが誰かのためになって、その誰かのためがまた誰かのためになり、笑顔や幸せが行き届いていく。僕らで言ったら楽曲だったり、アーティストのパフォーマンスが人を繋ぐ。そういう仕事は世の中にあまりないと思っています。僕らにとってアーティストはビジネスの側面もありますけど、それ以上の愛があります。

ーーアーティストと社長という関係だけではない、と。

香山:僕は自分のことを“親父”だと思っています。もちろんそれぞれに親御さんがいますが、アーティストとして活動してる間は、自分が親と思っていて。本気で怒って本気で泣いて、一緒になって遊んでっていう、家族ごっこではなくて、血の繋がってない家族のような関係なんです。だからこそ、自分が家族を守りたいという想いは強いです。

ーー会社の社長としても家長としても、コロナはいろんな選択を迫られる事態でしたよね。

香山:そうですね。コロナになる直前までは、G.U.Mがなんばhatchで1000人規模、来年にはZeppで2000人規模のライブをやるのが決まっていたり、AGEとWITHDOMというグループが弊社に加入しました。関西のボーイズグループで、ファンの数や認知を持つトップ3が弊社に集まったので「大阪どうこうではなくなったのかな」と思っていたタイミングでコロナになったんです。G.U.M、AGE、WITHDOMのインストアが3カ月先くらいまで計50本ほど決まっていたんですけど、全部吹っ飛んだんですね。経営者としてシミュレーションした時に、会社にあるお金と自分の個人資産を合わせても、何もしなければ3カ月で会社が潰れるとわかったんです。ある日、アーティストを含め会社のみんなを集めました。「はっきり言って、このまま動かなかったらロブは3カ月で潰れる。そんな中、俺は動こうと思ってるけど、賛同できない人は手を上げるんじゃなくて、個人的にラインをください」と。みんながいる前だと本音がなかなか言いにくいだろうなと思ってラインくださいと言ったんですけど、結果、それぞれからもらったラインで全員が「動きたいです、やりたいです」と言ってくれて。

ーー会社一丸となって動き出すことになったと。

香山:4月5日の緊急事態宣言が発令されたその日に、機材を全て揃えて収録配信をしました。なぜなら生配信は1日1回しかできないので、25分のライブを1日最低2本は録ろうと思ったんです。緊急事態宣言から1カ月間はほぼ休みなくフル稼働で走った上で、5月頭ぐらいに「これはイベントできるな」と思い、従業員に共有する前にイベンターさんに連絡入れて。「なんばhatchを押さえてください」と伝えて「え、本気ですか?」なんて言われながら「絶対に成功するんで」と。その時は多くの方から「なんでこのタイミングでやるんですか?」と言われたんですけど、徹底したコロナ対策の中で自社企画を毎月やり続けた結果、1年経ったら周りの反応も変わったんですよ。「やっていただいてよかったです」って。

 コロナの一件があって、よくアーティスト達にも言っていたのが「ピンチをチャンスに」という言葉。ピンチをチャンスに変えて走った結果、イベントをやることもそうですし、自分が信念を持ってやってることを曲げずに一貫して走り続けたら、みんな理解をしてくれるんだなと思いました。「一緒に手を組んでやりましょう」と言っていただく機会も増えたので、物事には嫌なこともしんどいこともたくさんありますけど、それに無駄はないというか。全部いろんなことが繋がってるんだなということを、強く感じます。チープな言い方にはなりますけど、これからも自分は音楽業界において、史に名を刻めるようなことをもっとやっていきたいなと思ってます。

株式会社ロブ 公式サイト

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