「大阪・関西万博ラッピング列車」テーマソングでも話題 株式会社ロブ 香山達也が語る、大阪からアジアへ向けたエンタメの発信
“大阪”を拠点に株式会社ロブを起業した背景
ーー東京の方がビジネスチャンスが転がっている気がするんですけど、どうして大阪で会社を立ち上げたんですか。
香山:勝負をするとなれば、東京よりも大阪の方がトップを取りやすいと思ったのがひとつ。あとは自分の地盤が大阪ということで、勝負しやすいのがありました。東京でたくさんの諸先輩方や会社と戦うよりは、大阪で名を上げるのが正直早いなと。自分の関係値やコネクションを含めて大阪で会社を立ち上げて、それを東京や他の地域で勝負する方が面白いなっていうのがシンプルにありましたね。そもそも、アジアに対してアプローチする計画を設立当初から立てていまして。アジアから見たら、大阪や東京という目線はないんですよね。いずれ日本という括りで勝負をするんだったら、大阪も東京も一緒であると。
ーー将来的にはアジアで勝負することを見据えていて、少しでも早く世に出たいと考えていた。それならば東京でしのぎを削るよりも、大阪で会社を立ち上げた方が得策だと思われたんですね。
香山:そうですね。レッドオーシャン、ブルーオーシャンで分けるならば、まだ大阪はブルーオーシャンやと思いました。
ーー設立したその年に数々のメジャーアーティストへ楽曲提供されてますね。
香山:アーティスト時代からお付き合いのあった業界の方だったり、会社の方だったりとの付き合いの延長で、コンペなどにちょこちょこお誘いいただいてたんです。とはいえ、1年目は売り上げの7割が建築業やったんですよ。
ーー音楽事業ではなくてですか?
香山:立ち上げた時の創設メンバーが僕を含めて6人、社員が1人いました。起業当初は仕事がなかったので、当時は僕も役員も報酬ゼロ。まず従業員を食わせるために何とかしなきゃいけないし、会社の家賃も払わなきゃいけない。そんな中で太陽光のパネル運びだとか、内装業とかジャンル違いの仕事しかなかったんですね。今も在籍している唯一の創設メンバーの1人が筆頭となって、役員を引っ張って現場仕事を1年間やってくれていました。そこから音源制作とかの仕事をグロスで受けるようになって。ちょっとは売り上げを作っていたんですけど、今みたいな形には全然なっていなかったですね。自分の中で音楽の事業で生計を立てられない歯痒さがあったのと、僕だけ現場に行っていなかったんですよ。周りの従業員が建築の仕事をする姿を見て「僕も現場に出ようか」と思ったんですけど、「達也さんは(現場に)来ないでください」と。僕が行っちゃうと、音楽の会社ではなくなってしまうので来ないでください、と言ってくれたんですよね。それを言われて「これは絶対に形にしなあかんな」と、より本気で思いましたし、会社ごっこじゃ駄目だなと深く痛感しました。2年目以降になって、イベント制作をやり始めたりとか、G.U.Mというグループを結成することになりまして。そこぐらいからこの会社に人生を懸けようと、自分の中でもう一段ギアが上がりました。
ーー今はどんな事業を手掛けていらっしゃいますか。
香山:現状は音楽事業のみで、アーティストマネジメントとかプロダクション業務ですね。他にも楽曲制作、イベント制作、レーベル業務、広告代理店のお仕事もしております。
ーーそんなロブは、大阪モノレール株式会社とタッグを組んで2025年日本国際博覧会協会公式デザインのラッピング車両「EXPO TRAIN 2025 大阪モノレール号」のイメージソング「We are」を制作されました。どのような経緯で決まったのでしょう?
香山:今回のお話が決まる前に、万博記念公園駅内で大阪モノレール様とライブイベント制作をご一緒する流れがありました。そこから弊社の従業員スタッフが、大阪モノレール様と密にお話をさせていただく機会が増えて、毎月イベントもやっていったんです。中でも大きかったのは、大阪モノレール様とブルーエール号という医療従事者の方々に向けたラッピング列車を走らせるとなった時に、イメージソングとしてWITHDOMの「コトノハ」という曲を使っていただいて。「この施策はすごくいいですね」というお声があり、今回イメージソングのお話をいただきました。
ーーどのように楽曲制作を進めて行かれたのでしょう?
香山:大阪モノレール様と打ち合わせをした時に、WITHDOMのSMOOTHも連れて行きました。彼は作詞の才能があって、WITHDOMの曲もそうですし、弊社のG.U.M、WITHDOM、AGEの混合ユニットのMEMの曲も作詞をしてくれているんです。大阪モノレール様が求めてる曲のイメージや歌詞の世界観、どういうメッセージを届けたいのかを色々とお話しさせていただき、イメージを固めてから楽曲制作に入りました。とはいえ最初はかなり難航したと言いますか、やはり大きなプロジェクトなので、形になるまでは時間がかかりましたね。
ーーロブの所属アーティスト(G.U.M、WITHDOM、AGE、U.for)の皆さんで歌われるのは、先方からの提案だったのでしょうか。
香山:僕が考えたことではあるんですけど、今回の楽曲に関しては弊社アーティスト全員のパートを作ることをイメージしたというよりは、万博というテーマでもある「人と人を繋ぐ」という意味を込めています。アーティストの他にも、在阪留学生や外国の一般の方々にも混声合唱で入っていただいているんです。メッセージを届けるにあたって、覚えていただきやすい簡単な手振りをAGEのJunが考えてくれました。そういう想いがあったので、みんなで歌うということを心がけて、その後に歌えるメンバーそれぞれにパートを与えたという流れですね。
ーー混声合唱と仰いましたが、まさに曲のテイストとしてはゴスペル感がありますよね。
香山:そうなんです。「We are」を作る時に意識したのは、ゴスペル感でした。ゴスペルの方々が手を叩きながら歌ってる姿を想像して真っ先に浮かぶことは何かと言ったら、やはり多幸感なんですよね。「ハッピーを届ける、笑顔届ける」というのは、弊社の企業理念にも通じますし、自分の信念でもある。まさに「We are」のテーマとリンクするものがありました。だからこそゴスペル感を入れたかったですし、一度聴いたら口ずさんでしまうような歌詞であったり、曲調はすごく意識したところです。