CYNHN、ツアー最終公演で確固にしたファンとの信頼関係 新メンバー 広瀬みのりの加入が起爆剤に

 女性ヴォーカルユニット・CYNHNが10月9日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで『東名阪ツアー -キリグニア-』の最終公演を行った。この公演は当初、夏に開催する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期に。そのためか、「一緒に大切な思い出を作ろうね!」と客席に呼びかけるメンバーたちの表情からは、歌える喜びがいつも以上に伝わってくる。グループもファンも待ちに待った“幸福なひととき”は、それぞれの胸に熱く刻まれたことだろう。

 オープニングナンバーは「ラルゴ」。豪快なギターカッティングが響き渡ると、会場内は瞬時にして“青”の世界に変わった。颯爽と現れた彼女たちは〈あぁトクトク鳴っている 柔らかいモノ 嬉しいって訴えている〉と、歌のフレーズと同じ気持ちをストレートにぶつけていく。それに応えようとペンライトを激しく揺らすファンたち。1曲目にして早くも一体感を生み出せるのは、音楽による人とのつながりを大切にするCYNHNだからこそだ。

 勢いは加速する。続く「レア」では、きらびやかなサウンドをバックにたおやかに歌い上げ、疾走感あふれるギターポップ「ごく平凡な青は、」では、緩急のついた力強いボーカルで聴き手をぐっと引き付ける。この2曲を通して認識したのは、新メンバーの広瀬みのりが違和感なく溶け込み、しかも自分なりの“青”を見せている点である。彼女の加入はグループが迷わず前進するための起爆剤になったに違いない。

広瀬みのり

 CYNHNのレパートリーのなかでも特にキュートな面をアピールした「アンフィグラフィティ」で一旦クールダウンした後は、初期の人気曲「タキサイキア」で再びヒートアップ。手拍手が必要不可欠なナンバーだが、これほどまでに音と手拍子がなじんで大きなグルーヴを生み出せるのは相当めずらしい。メンバーたちもライブならではの高揚感をたっぷり味わえたらしく、とても幸せそうに見える。

 オーディエンスの興奮ぶりをさらに高めようとスタートしたのは「アンサンぶる」。インパクトのあるギター演奏に負けないようにパワフルに歌う5人は神々しさを放ち、実に美しい。逆に「イナフイナス」ではどっしりと重いリズムとともにクールかつワイルドな部分を強調。このように多彩な魅力を次々と披露できるのはCYNHNの強みだと思う。

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