Rin音、リアルとファンタジーが入り交じった世界観を表現 『haunted house』ツアーファイナルをレポート

 終盤には最新ナンバー「夏風邪」やRin音を代表する楽曲「snow jam」も披露された。「夏風邪」を歌う際には、「夏風邪は、ちょっとした微熱のキツイ時間が長く続く症状が特徴で、それは自分の黒歴史だったりあの時の嫌な気持ちと似ている。そういう思い出もきれいに彩ってあげたいと思って作った曲です」と説明。どこか子どもの頃に観た夕暮れ時の情景を思い出すような、懐かしさのあるサウンドとメロディで、夏風邪の苦しさとは裏腹に、温かく癒し感のある楽曲。体を揺らしながら歌い終えると、会場には大きな拍手が鳴り響いた。

 「snow jam」では、クラップで声にならない声援がステージに送られ、それに応えるように客席を指さしたRin音。人見知りたちのコール&レスポンスといった様子で、会場には目と目だけで伝わるシンパシーがあふれかえった。「Zepp Hanedaのみんなはすごく温かい。気持ちが伝わる手拍子をありがとう」とRin音。

 アンコールでは、クボタカイ、asmi、A夏目を迎えて、7月にリリースした「What’s up」を4人で歌った。YouTubeではMVが175万回を超える再生数を記録している同曲(9月26日現在)。「東京だけの特別だから」とRin音。人気アーティストのそろい踏みに、うれしそうに目を輝かせた観客。まさしくチルアウト感たっぷりの楽曲に、クラップしたりペンライトを振るなどで会場は盛り上がった。

 「7都市を回ってみんなからもらったエネルギーでしばらくはハッピーでいられそう」とツアーを振り返ったRin音。「Zepp Hanedaのみんな愛してます。僕がいなくても寂しくないように、最後にこの曲を」と、ラストにはアニメ『アオアシ』エンディングテーマ「Blue Diary」を歌った。寂しいのは自分も同じ。いつでもみんなのことを思ってる。そんなメッセージが、優しい歌声からは伝わってきた。

 ネット発のラップアーティストとしてシーンに登場し、アパレルブランド・GUのWEB CM曲や、『ゼロイチ』(日本テレビ)といったバラエティ番組のテーマ曲など数多くのタイアップを担ってきたRin音。ウィスパー気味の柔らかな歌声は、決して押しつけることなく耳にスッと飛び込んでくる。新しさと同時に、どこか懐かしさも感じさせるトラックは、エレクトリックでありながら温かさにあふれている。そして様々な情景を彷彿とさせる、リアルとファンタジーが入り交じった独自の世界観を持った歌詞。Rin音の繰り広げる音楽の世界が、花火のように花開いたツアーファイナルになった。

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