BiSHプロデューサー 渡辺淳之介、ボーイズグループ分野になぜ参入? 「僕らが目指してるのは“パンピーの頂点”」

 BiSHや豆柴の大群、GANG PARADEなどが所属するWACKに、初となるメンズグループ・WACK BOYZ(仮)が誕生した。その合宿オーディションは、2022年2月と8月の二度にわたって開催され、代表である渡辺淳之介の並々ならぬ意気込みを感じさせた。

 そして、7人のメンバーが決定したが、なんと活動は関西で行うという。そのためにWACKは大阪支社を設立するというのだ。渡辺は、現在はバンドのオーディションや、スタイルに囚われないデモテープの募集もしている。WACKはさらに大きな事務所になろうとしているのだろうか? 渡辺に真意を聞くと、シーンへの目配せの幅広さ、細かさが浮かびあがることになった。(宗像明将)

女性アイドルの事務所がやりたくて会社をやってるわけじゃない

ーー今までのWACKは女の子ばかりだったから、ファンから「BiSHがいるのにメンズグループを作るな!」という声もあるんじゃないですか?

渡辺淳之介(以下、渡辺):(即答で)来てますね。

ーーあはは!

渡辺:メンズグループは危険だと。僕も去年はスキャンダルがありましたけど、やっぱり“男の子のおちんちん”については信用ならない、と。メンズグループのきっかけは、「Project WACKちん」(渡辺のオンラインサロン『WACOS』から生まれたオンライン上のオーディション)で「今回は男女にしてみよう」ってやってみたら、男の子もすごく頑張ってくれたことなんです。「これはちゃんとオーディションしてみないとわからないな」となって。最初は、僕もメンズがわからないし、「本当にやるかどうかはわからない」っていう前置きをさせてもらいながら合宿をやったんですけど、「メンズも可愛いな?」みたいに感じて。最初に合格した3人については何かしら関わりたいなっていう気持ちになったんで、合宿の最終日にはもう構想しはじめて。そのとき、完全に場所をわければ男女が交わることがほぼないので、拠点を地方に移そうっていうのがありましたね。僕たちの中では「WEST構想」って言ってて(笑)、西は男性、東は女性みたいな。

WACK BOYZ

ーーメンズグループは、WACK大阪支社を作って関西拠点にするという話に驚きました。

渡辺:「万一所属タレント同士で何かあったときに素直に喜べるかな?」って考えたんですよね。それで極限まで可能性を潰す意味で地域をわけました。もうひとつの理由としては、メンズグループについて僕も調べたんですが、大手事務所以外の「メン地下」と言われるところの成功例の一つってBOYS AND MENで、名古屋発なんですね。他と差別化を図って踊り出た状況があったんで、そのほうがいいかもしれないと。大阪には大阪にしかないメディアも多くて、僕たち自身でプロモーションすれば可能性があるんじゃないかと思いました。

ーー渡辺さんはかつてWACKで、男性バンドのthis is not a business(2015年解散)を手がけたものの、末期はメンバーから曲も集まらない状況があったじゃないですか。あのとき「男のほうが根が深い」と言ってましたが、WACK BOYZのメンバーたちは扱いやすいですか、扱いづらいですか?

渡辺:(即答で)扱いづらいですね。

ーーあはは!

渡辺:同性だからですかね。ただ、僕は時期的には「満を持して」だと思っているんです。ももクロ(ももいろクローバー、現:ももいろクローバーZ)やぱすぽ☆(後にPASSPO☆に改名)あたりが出てきた時期に似ていると感じていて。今はメンズの障壁が低くなっていて、それこそ僕が第1期BiSを始めた戦国時代みたいな時期になりうるのかなって気がしますね。

ーーなぜ今そういう環境になってきたと思いますか?

渡辺:仲良くしているグループで言えばDISH//もすごく人気だし、昔ほどメンズのでっかい「障壁」がないように感じてます。

ーー2023年でBiSHが解散しますが、その後のことも考えてメンズグループを作るという部分もありますか?

渡辺:WACKは「女性アイドルグループが所属する事務所」みたいな部分はあると思うんですけど、僕は女性アイドルの事務所がやりたくて会社をやってるわけじゃないので、いろんなグループがあっていいのかなと思いますね。

ーー男性アイドルの女性ファンのほうが単推しが多くて、たくさんお金を使う面もあると思いますが、そこに着目した面はありますか?

渡辺:お金を使っていただけるのはすごくありがたいことなんですけど、搾り取りすぎるとその次につながっていかないし、そこは考えものですよね。第1期BiSのときは遊び場を提供した感じだったんで、女性の方でも遊べるような場所を提供できたら、またちょっと違うのかな、みたいな。第1期BiS解散前夜あたりの離婚しちゃったり借金まみれになったりみたいな悲愴感が漂うと、半端なくなっちゃうんで。ブランディングとしては、ジャニーズに匹敵するようなグループにするよう動くべきだと思っています。

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