乃木坂46の歴史に刻まれた3期生の6年間 12人の変わらぬ絆、11人での新たな成熟

 梅澤にとっては、昨年11月に副キャプテンを就任してから初めての『真夏の全国ツアー』となった。ツアーを通して感じた頼もしい4期生、それに続く5期生の存在に「こういう連鎖が続いていく素敵なグループにいられて幸せ」と副キャプテンとしての立場から話す。頬に涙を流しながら梅澤に感謝を伝える秋元の姿も印象的だったが、筆者が忘れらないのは梅澤がメンバーを代表して会場のファンに注意をする一幕だった。「思わず出てしまう一時的な歓声等は必ずしも禁止事項には当たりません」という注意事項が追加された日産スタジアム公演辺りから、ライブ中に上がるコールについてネットでは度々議論になっている。今回の神宮でも徐々にヒートアップしていくのと比例して、歓声も大きくなっていってしまう場面も見受けられたが、曲間でライブを中断してまで「ペンライトや拍手で思いを伝えてほしい」と指摘したのが梅澤だった。乃木坂46という大きな影響力を持つグループで、そういった立場にあるということを強く実感させるワンシーンであり、“いい意味の圧”でグループを包み込む梅澤には、秋元とはまた別のキャプテンシーが備わりつつある。

 3期生自体のパフォーマンスの進化と継承、12人の絆は、昨年5月に期別ライブとして開催された『9th YEAR BIRTHDAY LIVE』にも刻まれている。そこから3期生は大園桃子の卒業を経て11人となった。現体制としては初の神宮、3日間の期別ブロックの選曲は、与田がセンターを務めた「三番目の風」(初日)、この日がライブ復帰となった伊藤理々杏センターの「僕の衝動」(2日目)、岩本蓮加をセンターにした「思い出ファースト」(最終日)と、次に進む3期生を感じながらも、どこか大園の面影を重ねてしまったのは筆者だけではないだろう。ただ、それらの楽曲の続いて3日間共通で披露された「僕が手を叩く方へ」のパフォーマンスが素晴らしかった。久保がセンターを務めるこの楽曲は、30thシングル『好きというのはロックだぜ!』収録の11人体制になってから初の3期生曲。特筆すべきは後半パートのファンが参加するクラップだ。齋藤飛鳥がセンターを務めた23rdシングル表題曲「Sing Out!」にも通ずるファン参加型の楽曲だが、3期生がこの5年間と1年間で紡いできた軌跡や希望に満ちた曲調、メッセージ性も相まって、すでに感動的なライブナンバーへと成長している。前述した梅澤の言葉があった神宮最終日の会場の一体感は格別であり、多くのメンバーが目を潤ませていた。応援ソングはそのメンバー一人ひとりに相手の心を動かす力がなければ成立しない。〈君は一人じゃない 頑張れ〉という真っ直ぐな歌詞が歌えるのは、それほどまでに3期生がたくましく成熟した証でもある。

乃木坂46『僕が手を叩く方へ』

 変化の肯定と様々な場所での挑戦を経て、乃木坂46は8月21日に結成11周年を迎えた。愛に溢れた乃木坂46をここまで築き上げてきたメンバーたちーーその中には3期生の6年間も深く刻まれている。

※1:https://www.nogizaka46.com/s/n46/diary/detail/100587?ima=0327&cd=MEMBER

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