DUSTCELL、“破壊衝動”を経て芽生えた外側への意識 EMA「とどまっていたら、いつか見向きもされなくなる」
「後ろから光を覗くみたいなのが僕らだと思う」(EMA)
ーー7曲目の「Void」はどうでしょう?
Misumi:これは僕もEMAも好きな漫画の『地獄楽』からインスピレーションを受けた曲です。作品を読んで思い浮かんだ言葉を歌詞にしました。現代語と古語が混じり合ったような不思議な歌詞になったなと思います。面白いのは、漫画『地獄楽』からこの曲を作ったんですけど、この曲からインスピレーションを受けた話が収録された小説『クロスの行方』が出版されて、そこからまたMVになってるっていう。
ーー作品から新しい作品を作り、その作品からまた別の作品になったと。
Misumi:そうですね。あとはサビのメロディがめちゃくちゃ気に入ってます。自分が表現したい美しさが表現できたと思ってて。DUSTCELLって闇を抱えたグループだと思われがちなんですけど、実はすごく光を見ているグループなんです。「Void」のサビは特に光を感じ取れる、すごく美しい曲になったなと。他の曲もそれぞれに良さがあるんですけど、この曲は一番光を感じられるメロディと歌詞な気がしてて。闇の中から見る光っていうのがDUSTCELLらしいかなと思います。
EMA:「Void」は自分が好きな漫画のオマージュだというのもあってすごく好きな曲です。サビで開ける感じとか、高音が伸びてく感じも自分は歌いやすくて。分かりやすく明るい光という感じではなくて、ちょっと一線引いた後ろから光を覗くみたいなのが僕らだと思うんです。
Misumi:”それでも生きる”が歌詞を書く上でテーマになることが多いんですけど、「Void」に関してもサビで〈死ねる勇気もないくせに/鼓動はまだ疼いている〉と歌っていて。あとこれは意識してなかったんですけど、サビの四つ打ちのビートが心臓の音のようにも感じられるし、いろんな点でいい曲だなと。そういう意味では最後の「漂泊者」という曲も、生きるのが不器用でもがいてるんですけど、“それでも生きる”という歌で。
ーー最後の〈ひとつのおわりひとつのはじまり 振り返らず さよなら私〉というフレーズに、DUSTCELLの現在の未来志向なモードが表れてますよね。
Misumi:希望がある終わり方にしないといけないと最近よく思ってて。聴いていただける人の数が増えるに連れて、歌詞に対して責任が生まれてくると感じてます。より多くの人に聴かれるということは、より多くの影響を与えることなので、作品に対して無責任ではいられないという気持ちが強くなってきました。たとえば、自分の書いた歌詞で命を絶ってしまったり、悪い方向に向かわせてしまうこともあるかもしれない。そういうことに自覚的になってきました。だからこの曲も最終的には希望が残る終わり方、闇の中から光が見える終わり方にしようと思って。
ーーその自覚というのはEMAさんも同じですか?
EMA:同じですね。
Misumi:かと言ってリスナーのことをばかりを考えて曲を作るわけでもなくて、心の片隅に置く程度にして、歌詞を書いてます。
ーーEMAさんは「Void」のようにある種の神聖さを感じるような歌い方をする時もあれば、一方で「どした?」ではエッジの効いた歌い方をしてみたり、ライブでは絶叫に近い表現も披露しますよね。そのあたりの使い分けについてどんな考えをお持ちですか?
EMA:あんまり考えたことがないですね。頭で考えることが苦手なので、この曲はこうだからこういう歌い方をしようとかは特になくて、結構直感で歌ってます。
Misumi:EMAは対応力がすごくて。どんな曲調でも柔軟に対応してくるんです。
ーーMisumiさんからのボーカルディレクションはあるんですか?
Misumi:1回もしたことないです。毎回これだっていう歌い方をしてきてくれるので、任せれば一番いいものが返ってくるんです。
EMA:早口と低音が苦手で、今はボイストレーニングしてる真っ最中です。
ーー人前で歌う機会が増えてきたかと思いますが、歌う時はどんなことを考えてますか?
EMA:作詞した当時の思いが込み上げてくる感じはあります。誰かに向けて歌うとかじゃなくて、曲に対しての思いが強いです。
ーー改めてこの『Hypnotize』というミニアルバムはDUSTCELLにとってどんな作品になりましたか?
Misumi:これまでのDUSTCELLらしさもあるし、新しさもある作品になったなと。そういう意味でも半歩外に出たのかなと。
ーーそうやって新しいフィールドに出ることに対して不安を感じたりはしませんか?
Misumi:怖さはもちろんあるんですけど、ずっと同じ場所にいるっていうのがあまり好きではなくて。停滞することは死んでるようなものだと思ってます。
EMA:そっちの(同じ場所にいる)方が怖いよね。気持ち的にはインドアなタイプなんですけど、ずっと同じ場所にとどまっていたら、誰からもいつか見向きもされなくなるんじゃないかなと。自分たちから外に向けて広げていった方が、前向きにもなれるかなと思います。
Misumi:結構飽き性で、引越しは年一くらいでしてますし(笑)。なので物語を進めていきたいという思いが強いですね。
ーー11月にはTOKYO DOME CITY HALLでのライブも予定されてますね。どんなライブになりそうですか?
Misumi:これまでのライブとはがらりと変えていきますので、期待していてほしいです。劇場型の会場でやるのも初めてなので、それもすごく楽しみです。
■リリース情報
1stミニアルバム
『Hypnotize』
2022年8月31日(水)リリース
¥1,800(税込)
Download & Streamingはこちら
<トラックリスト>
1. 蜜蜂
2. 不成者
3. 足りない(MBS/TBSドラマイズム『明日、私は誰かのカノジョ』エンディング主題歌)
4. どした?
5. ID
6. SANDBAG
7.Void
8.漂泊者
■関連リンク
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