乃木坂46の成熟が“夏曲”を変えた? 30thシングルが告げる新たなサマーアンセムの誕生

 乃木坂46が8月31日にリリースする30thシングル表題曲「好きというのはロックだぜ!」のMVが公開された。

 10周年の節目にたどり着いた日産スタジアムという一つの頂上から、“希望“という名のファンとともに、次なる地平に向けて新たな一歩を踏み出した乃木坂46。現在開催中の『真夏の全国ツアー2022』開催直前にツイートされた「わたしたちが、アイドル。乃木坂46です。」という表明は、これからも挑戦し続けることの力強い意思表示(※1)。そのグループの思いは施策を含めた記念すべき30枚目シングル全体からもひしひしと伝わってくる。乃木坂46の現在とさらなる未来を担う賀喜遥香をセンターに迎えた「好きというのはロックだぜ!」は王道にして、これまでのシングル曲の要素を踏襲した新たなサマーアンセムと呼べる楽曲だ。

乃木坂46『好きというのはロックだぜ!』

 そもそも乃木坂46にとって今作は、2018年リリースの21thシングル曲「ジコチューで行こう!」以来、4年ぶりに夏曲を表題に据えたシングルということになる。2013年の6thシングル『ガールズルール』を皮切りに、2014年の9thシングル『夏のFree&Easy』、2015年の12thシングル『太陽ノック』、2016年の15thシングル『裸足でSummer』、2017年の18thシングル『逃げ水』、そして翌年の『ジコチューで行こう!』と、乃木坂46は6年にわたって毎年夏曲をリリースしてきた(2ndシングル『おいでシャンプー』や3rdシングル『走れ!Bicycle』も夏曲という見方が一部ではされているが、ライブにおいてはその立ち位置にはないため、ここでは対象外とする)。

 2019年以降は遠藤さくらが初めてセンターを務めた24thシングル曲「夜明けまで強がらなくてもいい」、コロナ禍によってリリースが停滞した2020年を経ての2021年、賀喜にとって初のシングルセンター曲となる28thシングルのタイトル曲「君に叱られた」と、遠藤や賀喜といったそれぞれのメンバーに合わせた(合わせたい)楽曲テイストへとシフトしていく。シングル曲のほかにも、ファンだけでなくメンバーからも絶大な人気を誇るサマーチューン「ひと夏の長さより...」や2017年発売の3rdアルバム『生まれてから初めて見た夢』リード曲であり、ライブでも数多く披露されている「スカイダイビング」、3期生にとって思い入れの詰まった「思い出ファースト」など、様々な形式/サウンドの夏曲が豊富になってきたことは、グループが定型のリリースサイクルから脱却し、遠藤と賀喜という新たなセンターを立てた、ある種の成熟とも取れるだろう。

 そうした夏曲の変遷を経てリリースとなる「好きというのはロックだぜ!」は、グループにとって原点回帰とも言える楽曲である。「夏のFree&Easy」を彷彿とさせる胸高鳴るイントロに、ツアーで早くも導入されている「裸足でSummer」以来のタオルを使ったライブ演出。それでいて楽曲自体のサウンドはポップでありながら、「ひと夏の長さより...」や「逃げ水」のようにセンチなムードを強く帯びている。カタルシスを覚えるほどの盛り上がりを見せる、落ちサビからラスサビにかけての転調は、夏のアイドルソングの王道にして乃木坂46のシングルとしてはありそうでなかった曲展開でもある。

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