asmi迎えたTVアニメ『彼女、お借りします』EDテーマ「言えない」も話題 切ない青春感描くMIMiNARIとは?
儚さを感じるサウンドと一貫した物語性
MIMiNARIの作品の特徴の一つは、透明感や儚さを感じ取れる美しいそのサウンドである。ピアノの音色が繊細で、疾走感ある演奏と、情景が浮かぶような線の細い女性ボーカルが印象深い。こうした界隈の作品は孤独感や夜をモチーフとしたものが多いが、MIMiNARIはどちらかと言えば明るく爽やかで、全体的に切ない青春感が充満している。
さらに、作品のストーリーがどれも繋がっているような、一貫した物語性があるのも特徴だ。「終電間際≦オンライン。」のボーカルとしても活動しているシンガー・春茶が歌う「消えない feat.春茶」は、過ぎ去った恋の記憶を断ち切れない主人公の未練や後悔が、焦燥感のあるバンドサウンドの上でエモーショナルに歌い上げられている。
一方で、Z世代から絶大な支持を集める18歳のシンガーソングライター・natsumiがボーカルを務める「見えない feat.natsumi」では、その主人公と同一人物と思われる“僕”が〈僕は通り雨でいい〉〈雨上がりとさよなら〉と過去を断ち切り未来へと進むまでの心情とその変化が見事に描写されている。
そして「言えない feat.asmi」は、過去を断ち切った“僕”が、ようやく次の恋へと進むまでを描いた片思いの一曲だ。自分の気持ちを言えないまま踏み出せないこの曲の主人公像は、『彼女、お借りします』に登場する主人公・木ノ下和也の優柔不断な性格と重なるものがあり、アニメ作品との親和性も抜群。MIMiNARIの作品との繋がりとしても、アニメとの結びつきという点でも楽しめるのだ。
こうした一貫した物語性がMIMiNARIの魅力となっているが、もちろんイラストレーター・仮名井が手がけるアートワークもMIMiNARIの世界観を強く支えているポイントの一つだ。
春茶、natsumi、asmiとボーカリストは違えど、このように楽曲すべてに共通点・関連性があるため、新曲が出る度に次の曲がどう展開していくのか、期待を膨らませて想像したくなるプロジェクトと言えるだろう。