山下達郎、11年ぶりオリジナルアルバムがチャート首位 現在とこれからに思いを馳せたくなる“現役”の一作

 サウンド面でいうと、全体の響きがやわらかくなっている印象がある。要因はさまざまあるだろうが、特にリバーブの感じが大きいかもしれない。往年のようにリバーブの海に浸るようなことはないけれども、2005年リリースの『SONORITE』でのリバーブを控えたことによるデッドさを逆手に取るようなアプローチ(KinKi Kidsに提供した「KISSからはじまるミステリー」のセルフカバーや、「風がくれたプロペラ」など)や、『Ray Of Hope』での少し鋭いリバーブ(アルバムの冒頭と末尾をかざるアカペラの「希望という名の光(Prelude)」「希望という名の光(Postlude)」がわかりやすい)と比較すると、ナチュラルでありながら、パワフルな山下の声にしなやかさを加える役割を担っているように思う。

 これからもコンスタントに活動は続けていくだろうが、はたしてそうした活動が次に「アルバム」としてアウトプットされるのはいつになるだろう。また11年後になってもおかしくはないし、『SOFTLY』をきっかけにライブツアーメインのモードから変化するかもしれない。いずれにせよ、山下達郎の現在とこれからに思いを馳せたくなる“現役”の一作だった。

山下達郎「SOFTLY」Trailer

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