FANTASTICSが語る、大人なラブソングで引き出された新たな一面 独自の進化を遂げるグループの強みとは?
6月よりツアー『FANTASTICS LIVE TOUR 2022 "FAN FAN HOP"』が開幕、さらに進化したエンタテインメントを全国のファンに届けているFANTASTICS from EXILE TRIBE。そんな中、ドラマ『花嫁未満エスケープ』(テレビ東京系)のエンディングテーマ「Escape」をニューシングルとしてリリース。ドラマのストーリーをなぞるように揺れる恋心を楽曲中でどのように表現しているのか、ボーカルの中島颯太、パフォーマーの瀬口黎弥、堀夏喜の3人にインタビュー。
さらにオーディション『iCON Z ~Dreams For Children~』発の後輩グループとのコラボ企画振り返りや、メンバー全員が本人役で出演するフェイクドキュメンタリー『The Usual Night いつもの夜』(ABCテレビ)についての話題などを通して、EXILE TRIBEの中でも異色の活躍を見せるFANTASTICSがこだわる”エンタメの形“についても聞いてみた。(※取材は5月下旬)(古知屋ジュン)
【オリジナル動画】FANTASTICS、こだわりの“My 〇〇”を紹介!
“大人っぽさ”を意識したFANTASTICSの新たな一面
――リーダーの佐藤大樹さんの主演ドラマ『liar』(TBS系)のエンディング主題歌「Turn to You」もそうでしたが、今回の「Escape」もドラマをイメージして書き下ろされたと聞きました。どういう点を意識して制作に取り込んだのでしょうか。
中島颯太(以下、中島):今回の歌詞にはドラマの内容を知らない方でも共感できるような恋愛のシチュエーションが描かれているので、レコーディングでは「歌詞をしっかり届ける」ということを(八木)勇征くんと僕、2人とも意識していて、それを踏まえた上で「それなら、ここはこういう歌い回しにしようか?」みたいに相談しながら進められたので、意外にスムーズでしたね。
あとパフォーマンス面でいうと、今回ボーカルは一切踊らずセンターでどっしり構えて、パフォーマーが完成度の高いエモーショナルなダンスでこのバラードを盛り上げていく形なので、視覚の部分でも存分に楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。
堀夏喜(以下、堀):振付は世界さんと(澤本)夏輝くんが作ってくれました。世界さんが2サビとDメロ、ほかは全体的に夏輝くんが担当ですね。
――澤本さんはこれまでにもシックな「Dear Destiny」などを手掛けていて、振りに独特の世界観がありますよね。
堀:そうですね。ジャズやコンテンポラリーっぽかったり、そういう夏輝くん流のダンススタイルがすごく入っているので、FANTASTICSらしいというより“夏輝くんが新たに引き出すFANTASTICS”といった雰囲気です。
瀬口黎弥(以下、瀬口):実際に踊ってみたら、シンプルに難しかったです。僕は絶対、FANTASTICSに入っていなかったら踊っていない振付だと思います。
堀:それで全体的に振りがばちっと揃っているし、Bメロ部分の構成も面白いので、全体を通してじっくり楽しんでほしいです。今回もMVのほかにパフォーマンスビデオを撮っているので、ぜひそちらもチェックいただいて全体を見てほしいです。
瀬口:今回のパフォーマンスビデオは、ワンカット撮影というのが強みなんですよ。
中島:しかも一発撮りなんです。普通は何回か撮ってその中でいいテイクを出すんですけど、その日一発目のパフォーマンスがすごくキマったので「間違いない!」ということで。ボーカルは普通に立って歌っていたんですが、パフォーマーの職人技を感じました。
――MVもドラマにリンクした意味深な内容になっています。
中島:ドラマの主演の岡崎紗絵さんにも出ていただいて、岡崎さんが鏡の迷路に迷い込むというストーリー仕立てのMVです。FANTASTICSが歌とパフォーマンスで女性を誘うようなストーリーになっているんですが、全員の表情の演技やパフォーマンス面もしっかり見ていただける構成なので、そこにも注目してもらえると嬉しいです。
――ドラマは今カレと元カレの間で揺れるアラサー女性の恋愛が描かれていますが、リリースの頃には最終回を迎えて3人の関係に決着がついていると思います。「Escape」はおそらく元カレ視点で書かれたものかと思うんですが、みなさんが元カレの深見(浅香航大)の立場だったらどう出るんでしょうね……?
中島:難しいですね。でも僕がアプローチするなら深見っぽく、ちゃんと「好き」とか言いたいことは言って、女性を引っ張っていくタイプだと思います。
堀:僕は“勝負に出ない派“なので……自分から戦いを仕掛けるのはちょっと無理ですね。
瀬口:僕も強めには出ないというか、わりと優しめに、でもやんわりと好きな人と関係を深めていこうとすると思います。
――なるほど。もう1曲の「BABY ROSE」はドラマにリンクした楽曲ではないそうですが、「Escape」に近い視点で書かれている気もします。今回は2曲とも小竹正人さんが作詞で、LDHファンにとってはレジェンド的なクリエイターさんですね。
中島:歌うにあたって小竹さんに書いていただいたお礼を伝えたときに「『BABY ROSE』は今までで一番大人っぽい曲だから、歌も大人っぽさを意識してほしい」とか「〈こんな愛のカタチもあるんだよ〉っていう1行はこの曲の大事なポイントだから、しっかり歌ってほしい」など、小竹さんの中のイメージを共有してもらったんです。プライベートでもお世話になっている方なので、歌詞についてもセッションができて嬉しかったです。
――ちなみに中島さんが小竹さんの歌詞で好きなところというと?
中島:歌詞だけでその曲のストーリーがぱっと見える点ですね。耳にしたことがないようなワードも親しみやすく感じますし、言葉の選び方がすごいなと思うポイントが1曲に何カ所もあるんです。絶妙なストーリー性の沼にはまるというか、あの“言葉力“にいつも驚かされています。数ある小竹さんの作品を聴いてみても「絶対自分では書けないな」と思いますし、そんな作品を自分たちも歌わせてもらっているのがありがたいなと思いますね。
――今回の2曲はコーラスの重なりがすごくきれいですね。
中島:コーラスを重ねるのは結構慣れてきて、そこはスムーズにいきました。でもレコーディング全体でいうと、「Escape」よりも「BABY ROSE」のほうが時間がかかったかもしれないですね。サビ部分の歌詞の文字数がわりと多いので、リズムの面で自然に聴いてもらえるように歌うというのが、苦労した点ではあったかもしれないです。
――FANTASTICSとしての楽曲もたくさんリリースされてきて、八木さんと中島さんの声の質感や歌い回しの違いがかなりはっきり出るようになりましたよね。
中島:曲にもよりますが、高音を張り上げたり繊細なイメージの部分は勇征くんに任せていて、低めのラップだったり、落ちサビみたいな音数の少ない箇所は僕がわりと得意だったりするので、そういう分担ですかね。今回の2曲はがっつり恋愛を描いた曲なので、さっきも言ったように大人っぽいイメージにしたくて、他の曲とは声色を変えたりしています。