Saucy Dog、武道館のステージで見せたバンドの頼もしい姿 リスナーに届けた感動と幸福感あふれるメッセージ

 3人編成に戻り、後半戦へ。せとが骨太なドラムを響かせた「リスポーン」の後には秋澤がメロディックなベースソロを巧みに披露し、「雷に打たれて」へ繋げる。石原もイントロの合間にステージを駆け回り、ラストスパートに向けて会場のボルテージを上げていく。疾走感のあるメロディに雷を模した照明演出も華やかで、さらに聴き手の気持ちを高揚させる。続けて畳み掛けた「ゴーストバスター」では火花の噴射やレーザーのごとく輝くライトの演出など、武道館ならではの演出をたっぷりと堪能できた。

 リリースされたばかりの新曲「優しさに溢れた世界で」では、〈もっと優しさに溢れた世界で/笑ってたいと思ってるだけ〉の部分で3人の顔が映し出され、Saucy Dogとしてリスナーに届けたい想いが、この一言に凝縮されているのだと感じた。ラストには、もっと大きなステージに連れていくことを宣言した「バンドワゴンに乗って」と、頑張っている人に寄り添う「猫の背」をドロップし、本編が終了。

 鳴り止まないアンコールを呼ぶ拍手に応えて再び登場した彼らは、最後にもう2曲披露した。また会えるように願いを込めた「いつか」では石原の圧倒的な歌唱力を改めて見せつけられたし、弱かった自分にさよならを告げる「グッバイ」では明日からもまた頑張ろうという元気と勇気をもらった。「今日楽しかった人ー!? ありがとうー!」と感謝の言葉を告げ、終始感動と幸福感に満ちた公演が終幕した。

 Saucy Dogはリスナーのすぐそばにある日常やリアルな心情を掬い取り、丁寧に楽曲に落とし込んできたからこそ、絶大な共感と信頼を得てきたバンドだ。本編最後のMCにて、「みんなの人生を変えることはできないかもしれないけど、人生を少しでも明るくハッピーにできたら」と石原が述べていたが、彼らは海の底までも明るくするほどの頼もしい光を持っていると感じる一夜だった。

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