sumika、ファンへ届けた“独りではない”というメッセージ 歌い続ける決意伝えた『花鳥風月 -第二幕-』ツアー最終日
あと一つの『SOUND VILLAGE』収録曲「一閃」は、本編のクライマックスで演奏された。互いの最大値を引き出し合う2人の関係性を映すような片岡&小川のツインボーカルからも、小川の鍵盤のタッチの強さからも、熱い想いが伝わってくる。前身バンド活動休止後も音楽の道を諦めなかったsumikaのこれまでを想起させる歌と、暗闇を抜けて、彩りのある日々を迎えに行ったsumikaの“今”が重なるなか、〈あなたの名前を呼ぶから/キャッチしてよ〉というフレーズを歌いながら片岡が客席をぐるっと指差す。インタビューなどで「曲はあくまで自分のために作っている」とよく言っている片岡が、「(曲を聴いて)あなたが笑ってくれたり、テンション上がってくれたり、時には泣いてくれたりすることが生きがい」だと語り、「2020年の暗闇に光を射してくれたのは間違いなくあなたの存在でした。そのことは忘れないでください」と伝えたうえで、今この場所だけで「あなたのために歌う曲」と明言する意味は大きい。あなたが居たから、僕は孤独ではなかったーーそんな実感から来る感謝と喜びを“僕が居るからあなたは孤独ではない”というメッセージに変え、一人ひとりに手渡していく。
そしてアンコール。一人で出てきた片岡が「どうしても歌いたい曲がある」と紹介した「ここから見える景色」もまた人との繋がりや未来について歌った曲だった。片岡の弾き語りからスタートし、メンバーが順に合流するアレンジも象徴的だ。さらに、1人から7人になったステージ上の彼らの目の前にはたくさんの観客がいる。「ここにいる全員で乗り越えたんだ。もう二度と離れないように、音楽を続けていきます。だからいつでも帰ってきてください。“おかえりなさい”を言える準備をして待っています」(片岡)。そんな言葉で締め括られた『花鳥風月』ツアーの温かな余韻、“独りではない”というかけがえのない実感は、私たちの心の支えとなってくれるはずだ。そして、心の拠り所、帰る場所と確固たる想いを持っている人は強い。何があっても変わらずここに在ろう、あなたの味方でいようというsumikaの決意、頼もしさを感じたツアーでもあった。