角松敏生が繰り広げる新たなステージエンターテインメント 謎に包まれた2作のEP『MILAD #1』『MILAD #2』に迫る

 続いて『MILAD #1』から約1カ月後に配信がスタートした『MILAD #2』を聴いてみよう。冒頭は「Talk To You (Prototype PGM Ver)」。デジタルビートとシンセベースのリズムトラックとコーラスが絡み合うユニークなトラックと、縦横無尽に展開する角松特有のメロディが印象深いダンスナンバーだ。続く「Let's Get Real (Type-1 PGM Ver+1)」は、打って変わって壮大なスケールを感じさせるミディアムバラードである。〈今は変わり果てた 閉ざされた世界でも/変えられることがここにあるから〉というフレーズに込められているのは、コロナ禍によって変わった世界、もしくは昨今の不安定な世界情勢からくるものだろうか。そういった社会の空気感を匂わせつつも、希望を描いているのは角松らしい。

 この後はまたデュエットが続く。「I Wanna Wrap You Up (Ver.1 Duet with AKIO)」は、ライブのコーラスにも参加しているシンガーの亜季緒が参加。90年代のブラック・コンテンポラリーを思わせるドープなトラックと、ロマンティックなメロディが融合した少しセクシーなラブソングで、角松らしさが前面に押し出された一曲と言えるだろう。そしてラストを飾るのは「Follow Me #3 (TX Ver Duet with MARI)」。『MILAD #1』に収められたバージョンに続き、三度目の登場となるデュエットナンバーである。ここでは角松ファンにはすっかりおなじみとなった小此木麻里をフィーチャーしている。

 こうして『MILAD #1』と『MILAD #2』に収められた9曲を続けて聴いてみると、現在制作中だというアルバムの全貌が見えてくるような気がするが、実際のところまだまだ予測不可能だ。なぜ洋楽カバーのインストが収められているのか、同じ楽曲でなぜ3人のボーカリストとデュエットをしているのか、それぞれの楽曲につけられたバージョン名は何を意味するのか、そしてタイトルの“MILAD”とはいったい何なのだろうか。こういった疑問を抱えるのはなかなかもどかしいものがあるが、現在行われているツアー、そしてつい先日開催が発表された『MILAD 1「THE DANCE OF LIFE 〜The beginning〜」』というステージ、さらには待望のニューアルバムで全貌が明かされるはずだ。とにかくしばらくの間は、角松敏生の動きから目が離せない。

※1:https://www.thefirsttimes.jp/news/0000120063/

■リリース情報
『MILAD #1』
2022年4月13日(水)配信リリース
01. THE DANCE OF LIFE (Type-1 Cut Out Edit Short Ver)
02. DANCE IS MY LIFE (EDM Ver Type-A)
03. THE TIME IS NOW (Ver.1 Type-A)
04. Follow Me #1 (TX Ver Duet with RIE. K)
05. Follow Me #2 (TX Ver Duet with HARUNA. M)

『MILAD #2』
2022年5月18日(水)配信リリース
01.Let’s Get Real (Type-1 PGM Ver+1)
02.Talk To You (Prototype PGM Ver)
03. I Wanna Wrap You Up (Ver.1 Duet with AKIO)
04.Follow Me #3 (TX Ver Duet with MARI)

■関連リンク
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