水野あつ×雄之助、ボカロPも膝を打つCeVIO AIの実力 音楽的同位体『星界』『可不』が引き出す表現の可能性

 4月29日、30日の2日間、幕張メッセで行われたニコニコ超会議。そこに出展したKAMITSUBAKI STUDIOブースで「超音楽的同位体対談」が行われた。

 同企画は、KAMITSUBAKI STUDIOとCeVIO AIによるコラボで誕生した人工歌唱ソフトウェア・音楽的同位体に関するボカロPによる対談。2日目となる30日は、水野あつと雄之助が登壇した。また、音楽的同位体の開発に携わったCeVIO AIプロジェクトの川出陽一氏も登場。川出によるCeVIO AIのアップデート内容の紹介、花譜の声をもとにした音楽的同位体『 可不(KAFU)』に続く新作『星界』の紹介をしたのち、ボカロクリエイター2人への質問で盛り上がった。

 対談前半では、川出氏によるCeVIO AI及び『星界』の紹介が行われた。より人間らしく歌うことを可能にするための機能である、発声タイミング調整の操作がより分かりやすくなり、その調整に伴ってボリューム、ビブラート等は自動で再計算をしてくれる便利機能を紹介した。さらにピッチ調整も直接ソフトウェア上に書き込める直感的な操作が可能になったというCeVIO AI。水野は「信じることが怖い feat. 可不」のポエトリー部分では実際にピッチを自分で描いたという。「自分で自由自在に書いて試行錯誤できたので、本当に使いやすかったです」と感想を話した。

 さらに新作『星界』には感情パラメータが搭載されているという。バーチャルシンガー・ヰ世界情緒の歌をディープラーニングすることによって作られた『星界』だが、ヰ世界情緒の歌声に大きく振れ幅があったため、通常のようにAIが自動で歌い方を変えるだけでなく、ある程度ユーザー側で歌声の調整をした方がいいのではという意見が開発中に挙がったという。その結果できた感情パラメータでは、歌声の細かなニュアンスを変えることができる。感情パラメータの異なる星界の歌声を聴き比べると、雄之助は「使い分けることでどんな曲でも歌えそう」、水野は「同じ曲の中でも使い分けたら幅が広がりそう」と話し、今後の楽曲制作の可能性の拡大を思わせた。

かえろう feat. 可不
ステラの座 / 雄之助 feat. 星界

 そうしてCeVIO AI及び『星界』の解説を終えると、音楽的同位体を使用した楽曲として水野あつ「かえろう feat. 可不」と雄之助「ステラの座 feat. 星界」のMVが放映。

 その後、普段楽曲制作において意識していることを聞かれた水野は「とにかく直感を大切にしていて。あまり自分の作品に時間をかけないのは意識しているかもしれないですね。僕の曲は曲調もまばらで、バンドサウンドもピアノサウンドも色々書くんですけど、そういうのも含めて自分が楽しむのが一番かなって。だから自分が飽きる前に作り終えちゃうっていうのはあるかもしれないですね」と回答。雄之助も同じく時間をかけずに制作するという。「制作時間は早くて3時間くらい、長くても1日で終わらせますね。迷ったら没にするくらい。でも没も1年後にブラッシュアップされることとかもあるので、没が多いのは嬉しくもあります」と話し、その制作時間の短さで驚かせた。

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