さくらしめじ、“擬似解散ライブ”で紡いだ2人で音楽を奏でる意味 演劇との融合で見せる『春しめじのお花し』第2弾

さくらしめじ『春しめじのお花し 二冊目』レポ

 本当は音楽がしたい。でも夢を追いかけてばかりもいられない。そんな夢と現実の狭間で実は葛藤し続けている彪我。物件探しと就職活動の合間、「休憩だから」という言いわけを用意して「お返しの約束」を1人で歌い始める。その生き生きとした、かけがえのない歌声を部屋の外から聴いていた雅功は、2人で音楽を続けたいという自らの気持ちをあらためて確固たるものとする。「1人でめちゃめちゃいい曲を作る。それを彪我が“良くない”と思えば諦める」。そこから1週間という期限を設けて、雅功は新曲制作に没頭することとなった。

 「できた!」。寝る間を惜しんで雅功が渾身の1曲を生み出した。その曲に対して「全然ダメ」と冷たく言い放つ彪我。だが、「俺ならこうするのになって思うところがいくつかあって」と、また2人で活動する意志を照れながら伝えていく。そうして完成形となったのが、リアルにおいてもこのライブで初披露となった新曲「辛夷のつぼみ」だ。そこには、2人だから感じることができる楽しさと、2人だからこそ生み出せる音楽を強く信じる思いがめいっぱいに詰め込まれていたように思う。ラストは、夢を追いかけるために再び動き始めたさくらしめじによる「みちくさこうしんきょく」。笑顔いっぱいに音楽を届ける2人の姿が強く光り輝くエンディングとなった。

「僕たちの音楽はここから始まります。ここから先、みなさんに寂しい冬が訪れるかもしれません。ですが、いつか必ず春がやってきてキレイな花が咲くはずです。僕たちはそのときまで新しい一歩を踏み出し続けて行こうと思います。これからの僕たちを見ていてください」(彪我)

「僕たち自身がキレイな花を咲かせます。今日は本当にありがとうございました」(雅功)

 ストーリーにマッチした楽曲のチョイスと、リアルとフィクションをあいまいにさせるほどの表現を見せてくれた2人の演技が光った2度目の『春しめじのお花し』。雅功と彪我が音楽を続けていることの意味と意義がしっかりと刻みつけられていた点も、感動的なポイントだったと思う。音楽と演劇を融合させるライブスタイルは、さくらしめじにとっての大きな柱のひとつとして今後も長く続けていってもらいたい。果たして“三冊目”ではどんな物語が紡がれるのだろうか。

さくらしめじ

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