KAT-TUN、時流に合わせたデジタル展開は何を意味する? 配信コンテンツが示すグループの充実感
楽曲のデジタル展開、ライブ配信と先陣を切ってきた理由の一つに、安定したKAT-TUNのキャリアが挙げられる。2001年の結成から2006年の東京ドームでのデビューコンサートを経て、ホールやドームクラスでもコンサートを行った。ソロでも舞台に映画、ドラマ、バラエティ番組への出演、上田竜也と亀梨和也はソロコンサートを開催。中丸雄一も1人舞台への挑戦と、グループ、ソロともに様々な経験を積んできた。
また、3人それぞれでレギュラー番組を持っているのも特徴的で、中でも中丸は『シューイチ』、亀梨は『Going! Sports&News』(いずれも日本テレビ系)にそれぞれ出演。両番組とも生放送で、時にはメインMCの代理を務めることもあり、臨機応変な対応が求められる。こうして築き上げてきた信頼、生配信でも任せられる技量の高さも、彼らが先陣を切る理由だろう。
さて、『Honey』では「Ain’t Seen Nothing Yet」「STING」の2曲をリード曲に据えている。「Ain’t Seen Nothing Yet」のMVは、大きなパネルに映し出したグラフィックを背に、巧みな照明づかいによる陰影を使ったモノクロの世界を打ち出した。メンバーの衣装は黒で統一され、時折差し込まれる赤と多色づかいのフラワーアートをポイントに、大半がモノクロで構成されている。この大胆なまでに要素をそぎ落とした潔さはKAT-TUNならではと言えるだろう。美しく甘く響くファルセットで織りなす楽曲と、3人の確固たる存在感があるからこそ成立する世界観。そのファッショナブルな世界に溶け込んだ上品な色気と甘さはまさに“Honey”。一部楽曲をデジタル解禁、YouTubeでもMVが公開されているが、全てに触れたい、所有したいと思わせる奥行きと魅力が今作にはある。
年齢に抗うでも落ち着くでもない、“大人ジャニーズ”として程よく肩の力を抜きながらも新たな挑戦を続けるKAT-TUN。きっと効果的なデジタル展開によってまた新たなファンを獲得していくだろう。大胆な腰振り、誘うような視線、繊細な歌声……甘い蜜の罠におびき寄せられるように、KAT-TUNならではの上質な大人の世界観を堪能したい。