映画『ウエスト・サイド・ストーリー』劇中曲がバイラルチャート好調 “多様性と愛”を象徴する不朽の名曲の聴きどころ
参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest
Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(2月24日公開:2月17日~2月23日集計分)のTOP10は以下の通り。
1位:winD「かわいい」
2位:Lizabet「Another Day Goes By」
3位:Rachel Zegler, Ansel Elgort「Balcony Scene (Tonight) – From “West Side Story”/Soundtrack Version」
4位:「America」(From『West Side Story (Original Motion Picture Soundtrack)』)
5位:OCTPATH「IT’S A BOP」
6位:Ben Weighill, Stock Marley, RANDOM DAN「Sing」
7位:YENA「SMILEY (Feat. BIBI) 」
8位:鉄風東京「外灯とアパート」
9位:早稻叽(はやいねちー)「热爱105°C的你(熱愛105℃の君へ)」
10位:NEEDY GIRL OVERDOSE, KOTOKO, Aiobahn「INTERNET OVERDOSE」
流行の最先端を映し出すSpotifyのバイラルチャート。今週のチャートもトレンドをいち早くキャッチアップしたラインナップが揃った。TikTokで人気を集めているwinD「かわいい」が初登場にして早くも首位を獲得。2位には小林武史がプロデュースした注目の新人アーティスト Lizabetの「Another Day Goes By」がランクイン。そして、9位には、中国の動画サイト「bilibili」を中心に活動をしているVTuber 早稻叽(はやいねちー)による「热爱105°C的你(熱愛105℃の君へ)」がランクインするなど、新鮮味あふれるアーティストが顔を揃えている。そんななか、映画『ウエスト・サイド・ストーリー』のサウンドトラックから、バルコニーで歌われるミュージカルの定番曲「Balcony Scene (Tonight)」、そして「America」の2曲が2週連続でチャート上位に食い込み異彩を放っている。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う公開延期の末にとうとう日本でも劇場公開された『ウエスト・サイド・ストーリー』。言わずと知れたミュージカルの名作だが、ブロードウェイ・ミュージカル版から2度目の映画化を手掛けたのは、なんと名監督 スティーヴン・スピルバーグだ。対立するグループによって引き裂かれたニューヨークのウエストサイドで、社会の分断に危うくも抗っていく禁断の愛の物語を、ミュージカル的な解釈と素晴らしい音楽でもって映画化してみせた本作。この映画の見せ場は、やはり音楽シーンである。特にSpotifyのウィークリーバイラルチャートにランクインしている「Balcony Scene (Tonight)」と「America」は、『ウエスト・サイド・ストーリー』における往年の代表曲。今回のスティーヴン・スピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー』においても重要な楽曲として扱われており、チャートの動向からも垣間見えるように、やはり千古不朽の人気を誇っている。
今週3位にランクインしている「Balcony Scene (Tonight)」は、対立するヨーロッパ系移民グループ「ジェッツ」のトニーと、プエルトリコ系移民グループ「シャークス」のベルナルドの妹にあたるマリアによる愛のデュエット曲。物語としては『ロミオとジュリエット』におけるバルコニーシーンにあたる部分である。立場を超えた禁断の愛の切なさと燃えたぎる情熱をドラマチックに描き出したこのミュージカルシーンは作品のハイライトのひとつであり、『ウエスト・サイド・ストーリー』といえば「Tonight」という印象を持っている方も少なくないのではないだろうか。爽やかなメロディの反面、歌詞に目を向けると特に耳に残る〈Tonight, tonight〉と繰り返される有名なフレーズは、切なくも燃え上がる恋の瞬間に潜む、どこか危うい結末の予感を感じさせる一節になっている。