稲垣吾郎・香取慎吾・草なぎ剛のSNSから感じる“風通しの良さ” 三者三様の個性溢れるスタンス

香取慎吾のあくなき探究心

 “パーフェクトビジネスアイドル”を自称する香取にとって、SNSは新たな表現の場そのものだ。YouTubeでは「しんごちん」というキャラクターを作り出し、ブログでは『空想ファンテジー』と題してフィクションの世界を綴る。そしてInstagramでは「#NURIEdeART」のハッシュタグでNAKAMAに呼びかけ、みんなで香取の線画に塗り絵をして楽しんできた。

 芸能人のSNSといえば、プライベートの一部を共有するかのようにファンと繋がるものというイメージが強かったが、香取は“パーフェクトビジネスアイドル”。むしろ、そこではない可能性を模索していったように思う。SNSもステージを演出するように、その特徴を探り、何ができるのかを試していく。まるで新しい画材を試すかのようなチャレンジの軌跡になっているのが面白い。

 以前、『ななにー』の裏側を聞いたインタビューで担当者が「香取さんはインプットもすごいんですよ。ABEMAで放送されているドラマや恋愛リアリティーショーもいろいろとチェックくださっていて“あのパロディみたいなのやろうよ“みたいなアイデアもどんどん出てくるんですよね」と話していたのを思い出す(※3)。

 先述したTikTokへの意欲も、常にアンテナを張り巡らせているからこそ出てきた発言なのだろう。もしかしたら、香取のなかにはすでにTikTokだからこそできる表現のアイデアがムクムクと膨らんでいるのではないかと思うと、こちらまでワクワクする。

 もっと自分ができることを。もっとみんなを楽しませることを。もっともっと……。香取のキャリアを振り返ってみても、常に新しいエンタメに挑戦する日々だった。歌番組がなくなっていくなかで、どうにかアイドルとして生き残るために必要だった柔軟性が、この正解のない時代を楽しむ余裕さえ彼に与えているように思う。

 活用しているSNSをバランスよく更新しながら、また新しいコンテンツを生み出していくというのは、大変なことだ。『ワルイコあつまれ』(NHK Eテレ)も4月から週1回のレギュラー放送となる。それでも「撮影大変そうだなぁ。 大変が幸せっ!!!」とツイートしてしまう香取は、やはりトップオブ表現者の器なのだろうと痛感させられる。

 納得のいくまで磨き上げて披露したい稲垣。肩肘張らずに楽しく続けている草なぎ。新しい表現を探してさらに新たな地へと足をのばそうという香取……そんな三者三様の個性溢れるスタンスが、SNSバラエティ『ななにー』でひとつになっているのもまた興味深いところだ。

 一人ひとりに合った楽しみ方を見つけていけばいい。そんな風通しの良さを感じられるのが、新しい地図ならでは。3人らしさが光るSNSを楽しむことで、つい見失いがちな「自分らしさ」を大切にするヒントを見つけられるのではないだろうか。

※1:https://realsound.jp/2022/02/post-965186.html
※2:https://www.asahi.com/articles/DA3S15196404.html
※3:https://realsound.jp/2020/06/post-561454.html

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