「一周目の冬」インタビュー
安斉かれん、ミステリアスキャラ脱却し等身大の自分へ 音楽を通して届ける、ありのままの気持ち
自分のやりたいことが今まで以上に明確になっている
ーー昨年9月からは7作連続配信リリースがスタートしましたね。このプロジェクトの発案はどんなところからだったんですか?
安斉:自分としては、あらためて気合い入れ直そうっていう気持ちがあったんですよ。言ってしまえば、この7作で安斉かれんの第2章が始まるというか。だから、いい意味でこれまで築いてきた“安斉かれんらしさ”をぶった切ろうぜ、みたいな感覚で始めました。
ーーデビューからの第1章でやれることはやり尽くした感覚もあった?
安斉:その場その場ではもちろん頑張ってきましたけど、でもデビュー当初は右も左もわからないし、目の前のものを一生懸命頑張るっていうスタンスだったと思っていて。でも、ここからは今まで以上に制作にも携って、もっと貪欲に挑戦して行きたいなって思ってます。そういう意味での第2章なんですよね。
ーーある種、アーティストとしての自我が強まったというか。
安斉:それはめっちゃありますね。自分のやりたいことが今まで以上に明確になっているし、それをチームの中でより発信できるようにもなったんです。普段から、「こういう曲を作りたい!」とか、イメージを伝えたりもしているので。
ーー連続配信リリースは現状、「18の東京」(昨年9月配信)、「夜は未完成」(昨年11月配信)、「現実カメラ」(昨年12月配信)まで進んでいます。ここまでの手ごたえはいかがですか?
安斉:とにかく楽しいですね。7作全部をまったく違う曲調にしたいなと思っているんですけど、最初の3曲だけでもかなり振り幅を出すことができていて。いい意味でみんなの期待を裏切りながら、自分としても今までになかった安斉かれんを知ることができているというか。特に2作目の「夜は未完成」はドラマ(『凛子さんはシてみた』」)のエンディング主題歌だったので、たくさんの方に届いている実感もありますね。「新しいかれんちゃんを感じられてうれしい」っていう声もけっこういただいてます。
ーー作詞は安斉さんご自身がすべて手掛けています。それぞれどんな思いで綴った歌詞なのでしょうか? サウンド感への印象とともに聞かせてください。
安斉:まず1作目の「18の東京」は、疾走感のあるサウンドだったので、歌詞に関しても勢いを感じられるものにしたかったのと、18歳で上京してきた自分自身を投影しつつ、東京の環境にもまれて強くなっていく女の子を書いていった感じです。で、2作目の「夜は未完成」はスウィングしたジャズテイストのあるサウンドがすごく気に入っていて。歌詞も少し背伸びしたビターなラビソングを書きましたね。
ーーちょっと大人なラブソングですよね。
安斉:そうそう。あいまいな男女の関係を描いています。最初はその関係をダラダラと続けている弱さみたいな部分が見えつつも、だんだん強い気持ちが芽生えて最後には〈君よもう現れないで/good bye〉って言ってるのがポイントですね。1曲の中でどんどん強くなっていく女の子の感情を描きました。
ーー3作目の「現実カメラ」は、今の時代ならではの視点で書かれた詞がすごく印象的です。
安斉:音数が多くて、すごくキラキラしたサウンドだったので、かわいい曲にしたいなっていう思いがあって。歌詞のテーマにしたのは、今の女の子たちがみんな使っている写真の加工アプリですね。アプリを使わない普通のカメラを“現実カメラ”と名付けて、フィルターのアリ・ナシのギャップにとまどう女の子の気持ちを書いた感じです。
ーー安斉さんも写真加工アプリは使ってます?
安斉:めっちゃ使いますよ、デフォで。フィルター加工なしの写真はちょっと怖いっていうか。そのまんまを見られるのはイヤですもん。みんなも加工してるから自分もしなきゃ損、みたいな感覚もあるし(笑)。
ーーあははは。でもこの曲では大切な“あなた”だけにはリアルな自分を見て欲しいと書かれていますよね。
安斉:そうそう。フィルターをかけていようがかけてなかろうが、どっちもほんとの自分ではあるんだけど、加工させてキラキラさせた写真はある種、フェイクな日常のわけで。だからこそ、大切なあなただけは私のリアルだけ見ててねっていう話ですね。こういう歌詞ってあんまりないと思うから、女の子が共感してくれたらいいな。