WOWOWオリジナルライブ×SHE'S キャリアの中での新たな挑戦と「360 Reality Audio」による視聴体験

僕たちも楽しいし、観ている側も新鮮で楽しい

――このライブの経験はバンドに何をもたらしたと思いますか?

井上:僕はあれ以降、ライブ中にキムと目を合わせることも増えましたね。ほんとに瞬間ですけど。それまでどこでアクションしてるんやろ? って見なかったから。もちろん僕はお客さんのほうを向いておきたいんで、バランスはそんなに変わってないけど、でも前よりは増えたと思いますね。

――メンバーのアクションや表情を見ることでいいフィードバックがあることを実感したと?

井上:そうですね。あと演奏面とかライブ感はある種、すごく特殊だったからあまり考えてなかったんですけど、単純に自分たちの曲がこういうロケーションに合うよねっていうのが再確認できたから、場所やロケーション、時間帯による曲の選別の目安ができたなと思いましたね。「この曲、やっぱ夜やな」とか「昼のほうが合ってるな」とか、そういう発見もありました。

服部:あとはメンタル面というか、あんなふうに雨を浴びながらやることはまずないんで。フェスでも屋根があったりとかするので、その環境が怖くなくなったなというのはありますね。

木村:ライブ映像の配信もたくさんやってきましたけど、自分たちだけでしっかりライブ感を出せるというか、目の前にお客さんがいるかのようなパフォーマンスは今回を通してできるようになってきたかなと感じました。

――最近は有観客ライブが開催できるようになってきていますが、いわゆる代替物ではない配信の一つの考え方ができたところはありますか?

井上:ああ、確かに。普通のライブハウスから配信するっていうプラットフォームだけでやるのはやってきたけど、寂しさや違和感はあったから。配信だけでやるならこういう普段見られないようなことをやるとWIN-WINじゃないですか。僕たちも楽しいし、観ている側も新鮮で楽しいというところは絶対にあるなと思いますね。

――そして「360 Reality Audio」での視聴体験をしていただきました。ズバリ感想をお願いします。

井上:ドルビーアトモスの立体音響やミックスとも方向性が全然違う。「マジの360°(笑)!」、みたいな感じでしたね。

服部:聴きたい音を聴きにいける、ここにギターがあって、ここにベースがあって……という感覚でした。普通に音源を聴いていても、僕は聴きたい音に耳を傾けるんですけど、それとは違うもっとクリア感があって。「ここのベースを聴きたい!」と思って、「こっちを聴こう」と思ったらしっかりそこが聴こえてくる。コーラスでもなんでもそうですけど、聴きたい音が聴けるのはすごいです。かつライブ感というか没入感もある。

――このシステムでやってみたいライブはありますか?

服部:お客さんがたくさんいて、いまは難しいですけど、声を出せるときにこのシステムでやったら、本当にその場にいるんじゃないか? という疑似体験ができそうだと思えたので、お客さんの声ありきでやってみたいというのはあります。

――このシステムでやってみたら良さそうな編成も想像できますね。

広瀬:僕らはストリングスを入れたライブもやるんで、たくさんの演者の音もクリアに聴き分けてもらえるんじゃないかなと思います。

【WOWOWコンテンツ制作局音楽部プロデューサー 片桐知香】

 コロナ禍で配信ライブが気軽に見られるようになった一方で、どのようにライブを、音楽を届けていくことができるか模索していました。その中でアーティストが本来の魅力をより発揮できるような場所で演奏するライブ番組を作りたいと思ったのが経緯です。

 今回、SHE’Sさんと一緒に番組を作りたいと思った時、バンドの壮大なメロディの中に繊細な部分を感じ、湖のほとりを提案させていただき、猪苗代湖での収録になりました。

 「360 Reality Audio」を使いファンの方もリアルにその場にいるような空気感を出すことに重点を置いて、実際の自然音をより多く入れながら空間を作ることに挑戦しました。当日、実は「マジックアワー」で終わる画を求めていたんですが、実際には荒天で、だからこそ自然の猛威もパッケージにされています。

 最初は鳥の声、後半はカエルがメインになって(笑)、最後はもう雨と風の音。その流れも込みで、ある意味ドラマチックなライブ番組になっているので、そこも含めて体感してもらえたら嬉しいですね。井上さんが「追い風」を歌う前に「すごい向かい風だけど追い風にしてやる」という言葉をおっしゃられて、SHE’Sの内面の強さも出せた番組になったと思います。

【WOWOW技術局技術企画部 蓮尾美沙希】

 WOWOWオンデマンドはすでにたくさんのお客様にご利用いただいているのですが、そちらとは別に新しい技術を使ったエンタメコンテンツをお客様に試していただける場を作る目的で開発したのが「WOWOW Labアプリ」です。たとえばインタラクティブな配信技術、xR技術、立体音響技術などを組み込んで、いち早くサービスとして世の中に出せるアプリを作りたいという思いから生まれたものです。

 今回は第一弾の機能として、「Sony 360 Reality Audio」を搭載しています。音声のみの配信サービスはいくつかありますが、映像付きの360 Reality Audioコンテンツ配信はWOWOW Labアプリがいち早く取り入れさせていただきました。

 「360 Reality Audio」を用いたライブでは、広くて残響時間が長い場所や、お客さんが周りにいる有観客ライブなど、その場の環境音に特徴があるほうがより効果的な音になると思いますね。今回の『SHE’S “By the Lake” LIVE』も猪苗代湖でしか録れない環境音やサラウンド感が特徴的なコンテンツなので、立体音響がすごく活きるものになっていると思います。

片桐知香、蓮尾美沙希

■番組概要
『SHE'S "By the Lake" LIVE』
https://www.wowow.co.jp/detail/173627

WOWOWオンライン
https://www.wowow.co.jp/

「360 Reality Audio」で視聴できるWOWOW Labアプリで全編を配信中
https://www.wowow.co.jp/service/wowowlab-app/

WOWOW Lab Webサイト
https://corporate.wowow.co.jp/wowowlab/

WOWOWオンデマンド特集も公開中

■SHE'S リリース情報
7th Single
『Blue Thermal』(読み:ブルーサーマル)
2022年3月2日(水)発売
・初回限定盤(CD+DVD)1,980円(税込)
CD:全3曲収録
1. Blue Thermal (アニメーション映画『ブルーサーマル』主題歌)
2. Beautiful Bird (アニメーション映画『ブルーサーマル』挿入歌)
3. SHE’S 10th Anniversary Tour 「So Close, So Far」Tour Final at Zepp Osaka Bayside (2021.12.05)
追い風 / Over You / Ugly / 月は美しく / Letter / Chained / Imperfect / Dance With Me / The Everglow / Amulet
DVD:
SHE’S 10th Anniversary「Back In Blue」 at 日比谷公園大音楽堂(2021.6.26)
Morning Glow / ミッドナイトワゴン / White / Ghost / 追い風 / aru hikari / 遠くまで

・通常盤(CD) 1,100円(税込)
CD:全4曲収録
1. Blue Thermal (アニメーション映画『ブルーサーマル』主題歌)
2. Beautiful Bird (アニメーション映画『ブルーサーマル』挿入歌)
3. Blue Thermal (instrumental)
4. Beautiful Bird (instrumental)
※初回封入特典:アニメーション映画『ブルーサーマル』描き下ろしチェンジングジャケット

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