手嶌葵、15周年を総括する特別公演 6人編成で響かせた“シンプル・イズ・ベスト”なアレンジと歌

 ライブ後半では赤いドレスに着替えた手嶌。山下あすかによる元気いっぱいのカウントとともにスウィングジャズのスタンダードナンバー「Cheek to Cheek」で幕を開け、シャンソンの代名詞ともいえる「C'est si bon」、ガーシュウィン兄弟がミュージカル『ファニー・フェイス』のために書き下ろした「'S Wonderful」と、手嶌が愛してやまないジャズのカバー曲を続けて披露した。

 さらにディズニー映画『101匹わんちゃん』に登場するヴィランの同名テーマ曲「Cruella De Vil」では、キュートかつコケティッシュな声と、毒気のある低音ボイスとを巧みに使い分け、続く2014年のオリジナル曲「Baritone」を力強く歌い上げる。「デビューしてからずっと『少女』のイメージで捉えてくださっている方も多いようですが、こういう色っぽい曲も歌えるようになりたいと思って取り上げてみました」と茶目っ気たっぷりにコメントし、会場を大いに沸かせていた。

 また、この日に配信がスタートした松田聖子のカバー曲「瑠璃色の地球」を今回のツアーで初披露し、その名の通りどこか懐かしく郷愁を誘う「想秋ノート」を歌い終えると、早くもライブは終盤に差し掛かっていた。

 「始まると、あっという間に終わってしまいますね」と名残惜しそうな手嶌。「このような(コロナ禍の)難しい状況の中、遊びに来てくださって本当にありがとうございます。感謝の気持ちを込めて、あと2曲歌います」と挨拶したあと、2016年のドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の主題歌「明日への手紙」と、そのカップリング曲「輝きの庭〜I’m not alone〜」を歌い、本編は終了。アンコールでは、映画『みをつくし料理帖』の主題歌「散りてなお」と、定番曲「Edelweiss」を披露した。

 手嶌葵のデビュー15周年を総括するような新旧織り交ぜたセットリストを、タイトル通り「シンプル・イズ・ベスト」なアレンジで堪能する至福の2時間半だった。

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