特集「演じること、歌うこと」

『舞いあがれ!』ヒロインも決定 福原遥が明かす、“まいんちゃん”からソロアーティスト活動に至るまで

表現活動で大切なのは自分の心を動かすこと

——『トッキュウジャー』で女優になるという情熱に火がついたんですね。

福原:その後、学生生活をメインにして、お仕事はゆっくりしていた期間があって。今後どうしようかって考えていて、映画から1年後の2015年に今の事務所に出会って。マネージャーさんやスタッフの方にお会いした時に、「ついていきたい!」「こんな人たちとお仕事がしたい」と思って、そこから本格的に取り組み始めました。

——当時はやはり女優になるというイメージでしたか。

福原:女優さんになりたいという思いが強かったですね。『グッドモーニング・コール』(2016年)で初めてドラマで主役をやらせてもらって。自分がやっていて「楽しい!」って思えたドラマでしたし、私はお芝居が好きだなと思ったのもこの作品です。

——そのお芝居の楽しさというのは?

福原:自分のなかで(吉川)菜緒ちゃんというキャラクターに対する愛が溢れてきたんですよね。アドリブもいっぱい入れさせてもらって。まだ立ち位置とかも全然わからなかったんですけど、カメラマンさんも「気にせずにやっていいよ」って、自由にやらせてくれて。「何をしようかな?」「菜緒ちゃんだったらこうするかな?」って考えるのも楽しくて。あとは、チームのみんな、共演者さんやスタッフの方と毎日会えるのが本当に楽しかったんです。早く現場行きたい、行ったらもう帰りたくないっていう感じでやっていました。

——みんなで一緒に何かを作る現場というものが好きなんですね。翌年には、声優としてアニメ『キラキラ☆プリキュアアラモード』(2017〜2018年/有栖川ひまり/キュアカスタード役)に出演してます。

福原:もともと、自分の声があんまり好きじゃなかったんですよ。“まいん”の時にも声優をやらせてもらったんですけど、自分の声が好きじゃないから、あえて少し低くしていた時期もあって。でも、『プリキュア』は私も『ふたりはプリキュア』を見ていたし、オーディションがあるって言われた時は、大好きな作品のオーディションを受けられるんだっていう気持ちになって。その時は、自分の声がどうこうよりも、大好きな『プリキュア』、みんなが憧れている作品に出たいっていう思いが強かったですね。だから、決まった時も本当に嬉しかったです。1年間やって、小さい子から「ひまりちゃんが大好きなんです」「一番好きなキャラクターで、声も好き」って言ってもらえて。そこから、自分の声でもこんなに好きって言ってくれたり、楽しんでくださる人がいっぱいいるんだなということに気づき、大事にしようと思いましたね。もっと、この声でできることがあるのかな、声のお仕事ももっとやってみたいなと思うようになりました。

——『プリキュア』でも歌っていますよね。

福原:“まいん”を思い出しましたね。でも、“まいん”の時はまだ、キャラクターのことを考えるよりも、楽しく歌う方を優先していて。ひまりちゃんはキャラクターとして歌うので、ひまりちゃんとして歌うことや表現することを考えるのが楽しかったです。

——その後にすぐに声優を目指す女の子を演じたドラマ『声ガール!』(2018年)があり、エンディングテーマの戸松遥さんとのデュエット曲「It’s Show Time!!」がリリースされました。

福原:福原遥として初めて曲を出すことには緊張もありましたし、どうなっていくんだろうっていう不安もありながらだったんですけど、戸松さんが本当に優しくて。声優という職業の奥深さや素晴らしさを学ばせてもらったし、アーティストとしてのライブにも行かせていただいたので、本当に憧れの方になって。自分の歌に関しては、まだあんまり考えられていなかったです。とりあえずちゃんと歌えていたらいいなという思いで、戸松さんについていく感じでした。

——好きだったダンスへの想いは?

福原:ダンスは小さい頃に比べたらあんまり考えていなかったですね。ただ、ダンスが好きだなという気持ちは変わっていなくて。映画『チア☆ダン』(2017年)の時は、無心になってがむしゃらにできるものが好きだから、やっぱり楽しいなと思っていました。あとは、土屋太鳳さんがコンテンポラリーダンスをやっているのを見て、素敵だなと思ったり。映画『羊とオオカミの恋と殺人』(2019年)のアクションシーンがダンス風だったので、コンテンポラリーダンスにちょっと興味を持ったりしました。今、ダンスで何かをしたいとはあまり考えていませんが、もちろん機会があったらやりたいです。

——では、音楽はどうですか。2019年にはソロで本格的にシンガーデビューを果たしました。

福原:楽しみな気持ちでいっぱいでしたね。自分にとっては音楽というものがすごく大切なんです。撮影に入る前も、その作品にあった曲を選んで聴いたりするんですね。安室さんをはじめ、音楽に日々のパワーをもらっていた分、自分もパワーを与えられる存在になりたいなというのがあって。これから始まるんだっていう楽しみな気持ちと、自分自身がどういう歌を歌っていくのか、ドキドキでしたね。

——役柄ではなく、福原遥として歌うことに抵抗はなかったですか。

福原:それはなかったです。ただ、“まいん”も“プリキュア”もキャラクターがあって、“なめこ”もなめこの歌のお姉さんという感じだったので、そういう部分では、どう表現したらいいのか、ガチガチに緊張していましたね。デビュー当時は、正直わからなかったです。でも今は、自分はどういう歌を歌いたいのか、歌い方や表現も含めて、ちょっとずつ見えてきて。昔は、正解を求めて歌っていたんですよね。でも、最近は徐々に自由になってきた。YouTubeでの“歌ってみた”企画を通して、本当に自由でいいんだなって感じるようになって。だから、リラックスして楽しんで歌えるようになってきてるんじゃないかなと思います。

——俳優、声優、歌手とそれぞれの活動は分けて考えてますか。

福原:分けていないですね。思いは同じです。ただ、純粋にいいものにしたいという思いだけです。何を伝えたいか、ちゃんと作品に入り込めているか、大事なのはそこにある熱みたいなものだと思っています。。

——それぞれの活動に違いはありますか。

福原:細かい違いはいっぱいあるんですけど、大きく見ると、全部一緒だなと思いますね。気持ちの作り方は似ていると思いますし、チームで1つの作品を作り上げるという意味でも同じかもしれません。

——では、演技や歌など表現する上で大切にしてることはなんですか。

福原:自分の心を動かすことですね。まず、自分の心が動いていないと、観ている方や聴いている方も動かないと思います。ちゃんとそこに存在して、自分の気持ちを動かして、リアルなものを届けたいなと思いますね。

——自分ではない役柄だとしても、自分自身だとしても、心が動いたという点においては嘘がない、と。だから、受け手である私たちも福原さんの演技や歌に感動するのかなと思います。最後にこれからやってみたいことを教えてください。まず、俳優としては?

福原:2022年は『舞いあがれ!』があります。半年間同じ役をできることはとても贅沢なことですし、役と自分の境目がわからなくなっちゃうくらい向き合いたいなと思ってます。私自身、家族愛のようなあたたかい作品が好きで、憧れがあって、ずっと出たいなと思ってきたので、そういうあたたかいシーンを撮影することも楽しみですね。

——声優業はどうですか。

福原:声の演技も本当に楽しくて。『アイの歌声を聴かせて』や『フラ・フラダンス』でも、キャラクターや世界ができあがってる状態に色をつけていく作業が本当に楽しかったので、また長編アニメーションとかに関われたらいいなと思っています。

——音楽活動は? 

福原:リリースイベントとかではなく、ちゃんとしたライブをやりたいですね。ワンマンライブができるくらいの数の曲を出して、みんなで話し合いながら、素敵なライブを作りたいなというのもあります。自分の表現を磨いて、みんなが癒されるような空間が作りたいです。

——俳優、声優、音楽活動、と多忙だと思いますが、これからも全部やっていくのでしょうか?

福原:はい! 私は表現することが楽しいし、もっと成長していけたらいいなと思っています。どれも表現というところでは共通しているので、全部やりたいです。

——そのモチベーションはどこから湧いてくるんでしょう。

福原:私、作品を見てもすぐに泣いちゃったり、すぐに感情移入しちゃったりするんですよね。そういう作品やお芝居を見たときに、「すごいな。こうなりたいな」って思うんです。お芝居をやって、ファンの方や周りの方に「よかったよ」って言ってもらえることも励みになりますし、朝ドラもそうですけど、音楽活動でもライブをやりたいとか、常に目標があるので、その目標に向かって、今いる周りのスタッフさんと一緒に頑張るのがすごく楽しくて。一人だったらそこまで思っていないかもしれない。マネージャーさんとか、支えてくれている人と一緒に夢に向かって歩む、チームで目標に向かって頑張る、みんなで同じ方向に進んでいくというのが好きなんですよね。

——幼稚園のダンスから中学生時代の吹奏楽部、“まいんちゃん”と、根底にある思いは今も変わっていないんですね。

福原:はい。みんなで汗水流しながら頑張って、夢や目標を達成した時に、みんなで「頑張ったね!」って言い合う感じが好きですね。それも、心が動く瞬間だなと思います。

——じゃあ、今のお仕事は天職ですね?

福原:そうですね、そう思います。いろんな人に出会えて、毎日、何が起きるかわからない刺激的な状況があって。自分次第でいくらでも変わっていける。楽しいなと思いながら毎日を過ごしています。

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