Kアリーナ横浜、ぴあアリーナMM、東京ガーデンシアター……大規模なライブ会場が続々誕生している理由
毎回アリーナ会場でライブを行えるアーティストはごく少数。人気アーティストでも1,000人から2,000人規模のライブハウスやホールで行う場合が多いはずだ。現在はコロナ禍でライブの公演数は減っているものの、これからもライブ市場が成長すると仮定したら、中規模の会場の必要性は高まっていくだろう。それもあってか、2023年に東京新宿にオープンする東急歌舞伎町タワーに、約1,500名収容のライブホールが入ることが先日発表された。アクセスも良好で使い勝手のよいライブホールになりそうだ。NHKホールも、現在行なっている改修工事が6月末には終了予定となっている。アリーナ規模の会場と比べると数は少ないが、中規模会場も増え始めてはいる。
しかし今最も数が減っていて厳しい状況にあるのは、数百人規模のライブハウスだ。コロナ禍の影響で、いくつものライブハウスが閉店してしまったからだ。HIPHOPなどクラブミュージックの聖地だった渋谷VUENOS、「なんとかコロナに負けないようにと頑張ってきたのですが、コロナのクソ野郎に負けてしまいました」とコメントを発表した渋谷ルイード K2など。また、富山Soul Powerなどの、有名アーティストを呼ぶことが多かった地方のライブハウスも閉店に追い込まれている。これらにより、駆け出しのインディーズアーティストが活動する場や、地方在住者が生の音楽に触れられる場所が減ってしまっている。それは未来の才能が潰れてしまうことでもあるし、音楽シーンの多様性を捨てて、結果的に市場を少しずつ縮めることにも繋がるのではないだろうか。これから重要になってくるのは小規模のライブ会場かもしれない。ホールツアーを行うアーティストもアリーナライブを行うバンドも、最初は小さなライブハウスから始まり、地方を回って大きくなっていった場合が多いのだから。
(※1)https://www.acpc.or.jp/marketing/transition/