「23」インタビュー
eill、23歳で迎えた大きな変化 「やっと自分の心を受け止められるようになった」
悩んでいた自分が自分を縛っていたことに気づいた
――そこからどんな過程を経て「23」に至ったのでしょうか?
eill:ちょうどツアーがあって、ステージに立てたことが大きかったですね。ステージに立てた時、すごくうれしかったんです。ここに来てくれたみんなはいつも私の曲を聴いてくれていて、みんなの何らかの日々に私の曲が寄り添っている。そんなお客さんの眼差しを直に感じ、同じ空気を吸えていることがすごくうれしかった。その時、この景色やみんなの眼差しは、私にしか分からないことなんだって。だから辛いことや苦しいことがあっても、それらを全部含めて自分がいまを生きているという証なんだって思えた。すると急に呪いが解けたようにふわっと心が軽くなって「23」を書きたいと思いました。その後、スタジオで突然思いついたメロディを口ずさんで歌ってギターの方に合わせてもらって。楽器も弾かないで、30秒くらいで急に思い浮かんだメロディでした。そこから修正もほとんどしていません。
――それがすごい。歌詞は一気に書き上げたんですか?
eill:ちょうど今年の夏頃だったんですが、コロナ感染がまた増えてしまって、あまり出歩けなかったので友達にも誰にも会えなくて。あまりにインプットが無かったのでレコーディングの合間に突然ファンの子と30分くらいZoomで話し始めたんです(笑)。悩みとか聞こうかなと思って。
――マジっすか(笑)。
eill:本当に超オフで。みんなの悩みを聞いていたら、私自身、悩んでいた自分が自分を縛っていたという側面にも気づけて。
――誰かの悩みを俯瞰で見ることで近視眼的だった自分の問題を引いて見られる場面ってありますよね。
eill:そうそう。例えば、私、eillってこうじゃなきゃいけないとか、パンツスーツを着なきゃいけないとか、何だか自分で自分を縛りがちなんですよね。そういうことにも気づけました。
――航海に例えたリリックは全体的に頼もしさもあるし、これからが本当の船出というか、改めてキャプテンeillが宣誓しているような力強さも感じられて。
eill:そうですね。チームeillのメンバーも増えていく中で、私はみんなを引っ張っていくキャプテンになりたくて。でもまだなれてはいない。だから〈名もなき私はそう“Captain EMO”〉と書いたんです。英語で「She is emo.」って言うじゃないですか。感情に振り回されやすいキャプテンです(笑)。私自身、この曲で一層変われた気がします。だから今回ジャケット写真も自分で撮って、ミュージックビデオも自分で監督してみようと思って。自分から茨の道に飛び込みました。
――それはやっぱり「23」が自分自身のことを歌った歌だからこそそうしたかった?
eill:そうですね。「花のように」とか「hikari」は誰かのことを思い浮かべながら書いた部分もあったけど、「23」は本当に自分自身の歌だから。自分プラス友達とかチームとか本当に近しい存在の人たちのことを思い浮かべて書いたからクリエイティブも自分目線で作ろうと。ジャケ写のカセット、自分でデコったんですよ(笑)。
ーーこれ、めっちゃかわいいですよね。
eill:やったー! みんなでトラックダウンをやりながらちょこちょことデコって。写真はフィルムカメラで撮ったんですけど。
――フィルムカメラって普段から使っているんですか?
eill:よく使います。でもピントが合わなくて近くのものが撮れないんですよ。しかも上手じゃないからフォーカスがぼけちゃって。何回も失敗して現像し直して、ミュージックビデオの撮影の日にやっと撮れた奇跡の一枚がこれでした(笑)。撮ったのは私だけどチームのみんなでああでもないこうでもないと言いながら作り上げたお気に入りです。楽曲制作が続いているのでクリエイティブまで手を出している場合じゃないんですけど、今回は自分を変えてくれた大切な曲だったので。
――このインタビュー時点ではまだ完成前ですがミュージックビデオの監督については?
eill:コンテから編集まで自分でやりました。このビデオには私の大親友が出演しているんですが、「20」の時、彼女のお腹には赤ちゃんがいたんですよ。で、いまは2人目もいるんですけど、実はその子もビデオに出てくれていて。エモくないですか?(笑)。
――それは超エモい。
eill:でしょ? 彼女はお母さんになって女性としても一人の人間としてもすごく強くなった。ただ時折、それが強いベールというか鎧をまとっているように見える時もあって。私は、この先、結婚するかも母になるかどうかもまだまだ分からないけれど、もし母になったら、私もそうやって鎧を固めていくんだろうなと思って。でも、たまにはそれを脱いで、怖くなってもいいんだよってことをここで一回言っておこうと思って〈歳をとっても 大人になっても 怖くなっていいんだよ〉というくだりを書きました。
誰に何と言われようが自分の心に従っていく
――ちなみに「23」を歌ったいまeillさんがあらためて「これは結構マジ後悔している」と思っていることって何かありますか?
eill:それが一つもなくて。私、後悔をしたことが全くないんです。実は最初、「23」の出だしで〈後悔を捨てて〉と書いてみたんですけど、「あ、私、後悔を捨てたことないや」って(笑)。もちろん、「あそこでこうすればよかったのかな」と思ったこともあったんだろうけどほとんど覚えていないし、どこかで引っかかっているような思いも一緒に生きているからそれは後悔じゃないというか。
――それは「20」の頃には言えなかった言葉かもしれませんね。
eill:そう思います。「23」では〈happy:) も unhappy:( も 抱きしめて気づいたの この痛みは私だけのものだって〉と歌っているんですけど、自分が何かに見たり触れたりした時に感じる感覚は私だけの感覚だし、厳密に言えば他人と同じものは何一つない。だから私は悩み続けても自信がなくても歌いたいし、心が動くこと、心に従うことがまず何よりも素晴らしいことじゃないかと。何ていうか、やっと自分の心を受け止められるようになった23歳という気がしています。前回のインタビューの時、「諦める以外の選択肢が無いのは嫌だ」と話したと思うんですが、本当にその通りで。誰が何と言われようが自分の心に従おう。そんな大切な感情に気づけて本当によかったなって思います。
――そして今後、eillさんが音楽を続けていれば、次は25なのか28なのか30なのか35なのか分からないけど、いつかまた年齢を象徴するような「23」に次ぐ曲が生まれる時が来るのでしょうね。
eill:絶対に来ると思います。〈歳をとっても大人になっても怖くなっていいんだよ〉というくだりは、その時を見据えて未来の自分に向けて歌っている歌詞でもあるので。eillはいまのところアレンジもミックスも毎回最高傑作を更新していると思っているんですが、今回、その基準値が確実に上がりました。アレンジ面でも初めてクワイアコーラスの方に歌っていただいて。eillの曲はこれまで私以外の声がコーラスに入ったことが無かったので、誰かと歌う感覚は初めての経験と熱量でした。「23」で音楽も考え方も生き方も全てにおいてまた新たな扉が開けた。何かの終わりのようで、同時に始まりのようでもある楽曲ですね。
――この先、eill自身が聴いてみたいeillの音楽性って何か思い浮かびますか?
eill:実はeillって「幸せ」をテーマにした曲が一つも無くて。大抵マイナスの感情から入るから。いつか「幸せ」の曲を書いてみたいですね。
――でもそれが書けてしまったら、もしかしたらeillの音楽が終わってしまうかもしれないのでは?
eill:いえ。きっとそこから何かが始まるはず。欲張りにいかないと(笑)。
――次のフルアルバムが楽しみですね。
eill:はい。「すごい曲がたくさん出来てます」と書いておいてください。
■リリース情報
5th Digital Single 「23」
発売日:2021年11月10日(水)配信リリース
配信:https://lnk.to/eill_23PR
MV:https://youtu.be/f6Q8PbD_3u8
■ツアー情報
『eill「BLUE ROSE TOUR 2022」』
2022年2月6日(日)東京・豊洲PIT
Open17:00/Start18:00
2022年2月11日(金)大阪・なんばHatch
Open16:30/Start17:30
2022年2月12日(土)名古屋・DIAMOND HALL
Open17:00/Start18:00
チケット料金(税込)TICKET:6,050円 +1drink
<e+チケット最速先行>
先行受付URL:https://eplus.jp/eill/
期間:11月10日(水)〜11月28(日)23:59まで
主催:スマイルカンパニー
企画・制作:AEGX
後援:ポニーキャニオン / テレビ東京ミュージック
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