INIやBE:FIRSTらも輩出、サバイバルオーディションブームはいつまで続く? 舞台は国内へ、影に潜む課題も

ファンダムと大衆のバランス、複数回の出演……ブームの影に課題も

 日本ではまだ続きそうなデビューサバイバルブームだが、それに伴う問題点も見えるようになってきた。まずは、フォーマットの特性上、大衆的に流行すればするほど“ゆるオタ”の割合が多くなるため、サバイバル後にデビューグループへのファンの側のモチベーションをキープしていく難しさという点がある。元々の“プデュ”シリーズはグループの活動期間が決まっていたため、ファンの側も集中力を持って応援することができた部分もあったかもしれないが、その縛りがなくなった時にサバイバルの期間中ほどのエンタメ性を事務所側がどれだけ生み出すことができるのか、という問題だ。サバイバルというフォーマット自体には興味があるが、出来上がったグループにはそれほど関心がない層というのも確実に存在しており、ファンダム中心の人気であれば主にファンに対して注力すれば良いが、サバイバル時の大衆的注目度の高さの分だけ、ファンダムと対大衆のバランスが難しいケースも出てくるかもしれない。

 また、デビューに漏れた参加者が繰り返し別のサバイバル番組に出演しがちという問題も生まれている。デビューを逃してもサバイバル番組出演をきっかけに事務所に所属したり、サバイバルで得た知名度を礎にデビューという形が理想的ではあるが、サバイバル番組への出演を繰り返すというケースも珍しくない。『Girls Planet 999』出演者には2019年にFNCエンターテインメントからデビューしたCherry Bulletのメンバーも含まれており、事務所によってはサバイバル出演を既存グループへのテコ入れとして考える場合もある。サバイバル番組は当たれば大きな注目を得られる一方で、参加者本人にかかる負担の大きさやそれを支えるファンの消耗を増大させる時もあり、カンフル剤のような効き目を期待しすぎるのも長期的に見れば良いことではないかもしれない。

 昨今のデビューサバイバルブームの起点である韓国では、「アイドル」の分野におけるサバイバルプログラムは以前ほどの注目度を受けることは難しい時期が続いているが、日本の演歌に近い中高年層向けの音楽ジャンルであるトロット歌手のサバイバル番組が昨年にかけて大ブームとなり、国内だけで40万枚以上をアルバムを売る歌手が現れたり、歌手の個人ブランドランキング上位に人気アイドル達と並んでトロット歌手が名前を連ねるようになっている。今現在は女性ダンサーチーム同士のバトルサバイバル『STREET WOMAN FIGHTER』がネットで注目の的だ。また、アイドルジャンルでも『極限デビュー野生ドル』『放課後のときめき』など新しいサバイバル番組は作られており、ENHYPENを産んだ『I-LAND』の続編である女性バージョンの制作も発表された。「サバイバル」というフォーマット自体に根本的に人々を熱狂させハマらせる要素があるということだろう。

 番組的な成功だけではなく、ビジネス的な成功につながっていくのかどうか、今後も動向に注目が集まるフォーマットであることは変わりなさそうだ。

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