LDHアーティストの表現を拡大してきた“ラップ歌唱の変遷” DEEP SQUAD、Jr.EXILEの楽曲から分析
R&BにルーツがあるDEEP SQUADにとって、ラップの導入はごく自然な流れあったというが(※1)、ヒップホップが音楽シーンの一大トレンドとなって久しい今、彼らだけでなくEXILE TRIBE全体、特に若手グループの中でその流れはいっそう強まっている。当初からヒップホップを音楽性の基盤としているTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEやBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBEだけでなく、今までは短いワンフレーズで採用するのみであったFANTASTICS from EXILE TRIBEも、近々では「PERFECT MAGIC」「M.V.P.」など、ラップパートが肝となる楽曲が増加。また、近作では関口メンディーのラッパー起用が多かったGENERATIONS from EXILE TRIBEも、「Make Me Better」で数原龍友のラップパートが久々に復活した。さらには、プレデビューシングル「Hotline」が配信リリースされたばかりのPSYCHIC FEVERも、ボーカリストとラッパーがどちらもいるグループである。彼らは現在、本格始動に向けて精力的に活動中だ。
元々BALLISTIK BOYZを活動初期からツアーに帯同させてきたDOBERMAN INFINITYや、ダンスパフォーマーがラッパーとして活動する前例を作った三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのELLYなど、先達の存在が大きいLDHにおいて、ラップは非常に重要な表現の一要素として受け継がれている。あくまで聴く側の感覚ではあるが、歌メロを歌唱する基盤があった上で作り上げられるボーカリストのフロウには、独特な面白みがあるものだ。どんなトーンで、どんな表情なのか。どこでエッジを深くかけ、どのようにアクセントをつけるのか。そこには、個々人の音楽的嗜好はもちろん、タイム感の違いなども大きく関わってくる。そこから元々の歌声の個性をどのように残すのかというところも、ボーカリストとしての腕の見せどころになるだろう。さらには、そのラップパートの経験がボーカリストに蓄積されることで、歌メロの歌唱も多様な進化を遂げることもある。そうして聴きどころがさらに増していく楽しみがあるのだ。
本格的な夏の到来に合わせ、LDH各グループが続々と新曲をリリースしている。今回取り上げた「Deja Vu」のように、ラップと歌が作り出すグルーヴにも注目しつつ、様々な夏の情景を楽しんでみてほしい。
※1:https://realsound.jp/2021/07/post-818575.html