fox capture planとの新曲も話題 “げんじぶ”こと原因は自分にある。が他グループと一線を画する強みを考察
さて、「以呂波 feat. fox capture plan」はそのタイトルから、平安時代に生まれた“いろは歌”をイメージしてか、オーセンティックなジャズアレンジながらも、全体的に和風なメロディを節々に見つけられる。それでいて〈現状でオッケーです 滑稽でトゲトゲ〉など、語感の似ている言葉を並べて難解な言い回しを多用する、ある種の“ボカロック”的な哲学性を含有した歌詞もまた癖になるところ。げんじぶを長く追っている人には新感覚を与えつつも、彼らの築いてきた音楽性にもしっかりと根ざしたサウンドといえる。軽快ながらもジャジーで奥深い一面もあるというのが、他グループとは一線を画する強みなのだ。
また、げんじぶの映像ギミックを駆使したライブパフォーマンスは、二次元と三次元を行き来するような”アンバランスな存在感”を意識したものに。その一例として、7月9日開催の『BREAK OUT祭 融合 -FUSION-』では、ステージにプロジェクションマッピングされた映像をベールのように纏い、楽曲の歌詞をビジュアライズする演出に挑戦。加えて、イベント内では17歳のバーチャルシンガー・花譜ともコラボし、ダブステップの激しいトラックに彩りを添えた。
彼らのジャンルを横断したサウンドはもちろん、先ほどの花譜と織り成したステージ、さらには過去の発表楽曲「スノウダンス」に、YOASOBIのコンポーザーを務めるAyase、「ネバーエンドロール」には、ずっと真夜中でいいのに。の作品に編曲で参加するボカロP・100回嘔吐をトラックメイクに迎え入れるなど、数々の新進気鋭のアーティストとコラボしていることからも、彼らの“先進性”に向けた活動意欲を実感できる。あわせて、げんじぶがプライベートで視聴しているアーティストを知れば、彼らの“同時代の音楽を愛する”姿勢もより明確になるのではないだろうか(※1)。
ところで、原因は自分にある。というグループ名は、“原因”という言葉をポジティブに捉え、自分たちが音楽シーンや世界に新たなものを生み出すきっかけ(=原因)になりたいという想いから名付けられたという。彼らの志向するサウンドは、現行トレンドを追求し、自分たちの周囲にいる才能と積極的な共演を重ねて生まれたもの。いわば、10代後半のリアルタイムで楽しむ音楽を、自分たちで再解釈しながら作品に落とし込んでいるのだ。つまり、音楽を楽しむげんじぶが次の音楽好きを生み出す“原因”として、そのトリガーを引く。そんな好循環は、今の若者たちが音楽により親しみを抱く上で、希望以外の何物でもない。
※1:https://realsound.jp/2021/01/post-689755.html
■一条皓太
出版社に勤務する週末フリーライター。ポテンシャルと経歴だけは東京でも選ばれしシティボーイ。声優さんの楽曲とヒップホップが好きです。Twitter(@kota_ichijo)
■リリース情報
「以呂波 feat. fox capture plan」
配信中
以呂波 feat. fox capture plan リンクファイヤー:https://ssm.lnk.to/Iffcp
以呂波 feat. fox capture plan 再生キャンペーン詳細:https://genjibu.jp/news/985
オフィシャルサイト:https://genjibu.jp/