関ジャニ∞ 横山裕、連ドラ初主演へと繋がる役者としての成長 過去作から考察

 4月22日にスタートしたドラマ『コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)で初の連ドラ主演を務めているのが関ジャニ∞の横山裕だ。同作は、これまでも多くのドラマや舞台を経験し芝居のキャリアを積み上げてきた横山にとって満を持しての主演作として注目が集まっている。今回は過去も併せて俳優としての横山の魅力を考察してみたい。

コタローとの距離が縮まっていく様子を自然に表現

 『コタローは1人暮らし』は、累計100万部を突破した津村マミ原作の同名漫画をドラマ化したもの。子連れ入居禁止のアパートを舞台に、横山演じる売れない漫画家・狩野進と、川原瑛都演じる隣人の“謎の5歳児"・さとうコタローの交流を描くハートフルコメディ。自堕落な生活を送る狩野の隣室に越してきたのはなんと5歳の少年。しかも1人暮らしで、武士のように不思議な言葉で話す少年を面倒なやつと思いながらも気になってしまう狩野だった。第1話には銭湯に入ったコタローの髪を狩野が洗ってあげるシーンも。最初は「面倒くせえ」と思いながらも、無性にコタローのことが気になり始め「どーした俺」と自分自身の行動に戸惑いつつ、少しずつコタローとの距離が近づいていく狩野。微妙な心情の変化を丁寧に演じている横山の演技が印象的だ。5月1日に放送された第2話では、初めて笑顔を見せたコタローを微笑ましく思いながら、弱さを見せない健気な姿に歯がゆく思う狩野の心情の変化を繊細に表現していた。

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 狩野の自堕落な生活を表情や姿勢、歩き方で自然に表現する横山。ジャージを無造作に着た姿からは、アイドル・関ジャニ∞の横山の気配は感じられず、いつしかストーリーに引き込まれ30分はあっという間。次回の展開が気になり放送が心待ちになるドラマである。

横山が舞台で魅せる圧倒的な存在感

 横山は1996年にジャニーズ事務所に入所。村上信五、渋谷すばると共に当時の関西ジャニーズJr.をけん引し、伝説の舞台『KYO TO KYO』をはじめ『MASK』にも出演。2004年に関ジャニ∞としてデビューした後も『DREAM BOY』『Another's“ANOTHER”』などで舞台経験を積んだ。主演舞台『ブルームーン』(2015年)では向坂ユタカ役を等身大で演じた。そんな横山にとって大きなターニングポイントとなったのは、2017年の『上を下へのジレッタ』であるように思う。手塚治虫のマンガを原作に、倉持裕が脚本・演出を手がけ、歌とダンスも盛り込んだ妄想歌謡劇という難しい演目に挑戦。横山は野心家でギラギラとしたダークヒーロー・門前市郎を自信たっぷりに、かつミステリアスに演じきった。2019年『北齋漫畫』では孤高の天才絵師である葛飾北斎の青年時代から晩年までを長台詞も交えながら演じた際には、演劇ファンからも大きな評価が寄せられるまでに成長した。4年ぶりにBunkamuraシアターコクーンへ凱旋となった『マシーン日記』(2021年)では狂気を含んだ難しい役柄に挑戦。舞台での横山は大胆かつ繊細。バラエティ番組ではメンバーからシャイな人見知りとイジられることもあるが、それを微塵も感じさせない圧倒的な存在感を持っている。

30代最後に演じる新境地に期待

 舞台で培った横山の演技力はドラマでも発揮。横山の知名度が上がっていった理由のひとつにジャニーズの仲間たちとの共演がある。二宮和也と共演した『拝啓、父上様』(フジテレビ系)をはじめ『有閑倶楽部』(日本テレビ系)、『ザ・クイズショウ』(日本テレビ系)、『左目探偵EYE』(日本テレビ系)などで演じたクールな役柄でファンを魅了した。また『CONTROL〜犯罪心理捜査〜』『絶対零度〜特殊犯罪潜入捜査〜』『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』(全てフジテレビ系)では、ハマり役ともいえる刑事を熱演。ドラマでは舞台とは一転、表情や目の動きなど繊細な演技が印象的で、闇を抱えた難しいキャラクターも的確に演じていた。

横山裕 出演 『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』 2020年1月6日(月)よる9時スタート!

 活躍の場はスクリーンにも。佐々木蔵之介とのW主演が話題となった映画『破門 ふたりのヤクビョーガミ』では、佐々木演じるヤクザの桑原保彦と横山演じる建設コンサルタントの二宮啓之のテンポある大阪弁のコミカルなやりとりが好評を得た。ところどころにクスッと笑うポイントがちりばめられており、見終わった後に心地よい爽快感を感じる映画だったことが印象に残っている。

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