14thシングル『Blessing』インタビュー

結城アイラ、「苦手だった作詞」を“武器”に変えて切り開いた道 『聖女の魔力は万能です』音楽プロデュースの挑戦を語る

 シンガー、作詞家、サウンドプロデュースと活動の幅を広げている結城アイラが、ジャズをコンセプトにしたミニアルバム『Leading role』以来1年ぶり、シングルとしては実に4年ぶりとなる通算14枚目のシングル「Blessing」をリリースした。表題曲は彼女が音楽プロデューサーとして参加したアニメ『聖女の魔力は万能です』のオープニング主題歌で、ボーカルと作詞はもちろん、コライトながらも作曲と編曲も担当した、スケールの大きなバラードとなっている。

結城アイラ 14thシングル「Blessing」試聴動画

 近年は、シンガーとしてはアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の挿入歌「Violet Snow」が話題となり、作詞家しては『アイドルマスター』や『アイドリッシュセブン』、『五等分の花嫁』などの人気作品に関わり、『聖女の魔力は万能です』のEDテーマを歌唱する声優ユニットNOW ON AIRのプロデュースも務める彼女は、アニメの音楽プロデューサーという新たなフィールドにどんな思いで挑んだのだろうか。(永堀アツオ)

アニソンの枠にとらわれない挑戦

結城アイラ

ーーまず、最初にTVアニメ『聖女の魔力は万能です』に音楽プロデュースとして参加することになった時の心境から聞かせてください。

結城アイラ(以下、結城):初めてのことなので、私でいいんですか? っていう気持ちがありましたね。オープニングとエンディングの制作を任せていただけることになって、とにかく頑張りたいなと思いました。

ーー音楽プロデュースという役割を引き受けた上で、原作を読んでどう感じましたか。

結城:主人公の(タカナシ)セイちゃんが、ある日突然、異世界に聖女として召喚されてしまって。そこからその世界でお仕事やスローライフを始めていくお話なんですけど。セイちゃんの人柄とか、登場人物との関わり合いとか、すごく優しい世界観で日常を大切に描いているなと思いましたね。だから、曲を作るときもその優しさや温もりを反映できたらいいのかなって思いました。そこから自分の中でいわゆるザ・オープニング! というイメージを作っていったんですけど、監督との最初の打ち合わせをした時に、そうじゃないんだっていう話しから始まりまして。

ーーどんなイメージを持っていって、どんなリクエストがあったんですか。

結城:オープニングは、爽やかでアップテンポな曲がいいんじゃないかなと思っていたんですね。でも、監督からはまさかのバラードという希望で。私の今までの楽曲をいろいろと聴いてくださった上で、「結城さんにはバラードが合うと思う」って言っていただいたことが嬉しかったですし、監督にとっては、オープニングでバラードをやるっていうのはチャレンジングなことでもあると思うんです。でも、監督が挑戦したいとおしゃっていたので、私も挑戦してみようと、バラードにしました。

ーーバラードという発注で作り始めたんですね。

結城:そうですね。あとは、監督からいただいた参考楽曲は洋楽が多かったので、あまりアニソンという枠にとらわれずに、シンプルで、かつ、壮大なものにできたらいいかなっていうイメージで始めて。また、『聖女の魔力は万能です』は“聖女”がテーマになっているので、その美しさは取り入れたいなと思いました。

ーーまさに〈聖なる輝き浴びて〉というフレーズもあります。

結城:歌詞を書く前に、聖女の仕事ってなんだろう? って考えたんですね。魔法で人を癒したり、願いや祈りを叶えていく部分もあるので、願いや祈りもテーマにしつつ、その中でも自分がアーティストとして言いたい言葉や思いも含めたいと思っていて。いろいろ考えていくうちに、私たちが生まれるずっと昔から、自分がどうにもならない出来事とか、どうにもできない心の思いを抱えたときに、人は何かを願ったり、誰かのために祈ったりっていうことを繰り返してきて、それが今も続いていると思ったので、そこに焦点を当てた歌にしました。

ーーアーティストとして伝えたいことも重なってるんですね。

結城:今、世界中が新型コロナウイルスによって大変な状況が続いていて。そんな中でできることは、コロナがなくなりますようにとか、早く世界の状況が良くなりますようにとか、そういう祈りや願いしかないかなと思いましたね。その上で、自分が何かに祈ることで、必ず希望に繋がっていくっていうメッセージも一緒に届けられたらいいなと思いました。

ーー結城さんの歌声自体に祈りにも似たパワーを感じてます。

結城:ありがとうございます。1コーラス目は割と落ち着いて歌ってるんですけど。

ーーアニメのオープニングは最初の90秒しか聴けないですよね。本当はその後を聴いてもらいたいですが。

結城:そうなんですよね(笑)。私はいつもタイトルから曲を作るんですけど、「Blessing」というのは“祝福”という意味なんです。何かに願ったり、誰かのために祈ったりできる優しさは、その人自身にとっても幸福なんだよって言いたかったし、好きなものや大事な人がいることも祝福すべきことだって言いたかったんです。だから、最後はエモーショナルに歌うイメージがあったので、あえて1コーラス目は抑えて、最後に地声で盛り上げる展開にしました。