4na、注目曲「hazama」がバイラル首位に 親密なボーカルで歌われる“純度の高い感情表現”

 今回スポットライトをあてる「hazama」は、4naがこれまで培ってきた得意分野のカバー曲で、ボカロPの上野シュンによるボーカロイド 初音ミクの楽曲が原曲だ。ボーカロイド楽曲というと、打ち込みの無機質なイメージがあるが、本楽曲はその先入観を打ち破るような温かみのあるサウンドとなっている。例えば、カセットテープをセットするSEから始まるイントロは、80’sを彷彿とさせるローファイな雰囲気を映し出すモチーフとして効果的だし、シティポップライクなギターのカッティングも生々しいグルーブを生み出している。

 レイドバックした雰囲気のボーカルも魅力的で、官能的なブレスのニュアンスが、楽曲全体に通底するテーマである「愛への渇望」にリアリティを与えてくれている。〈混ざり合うほど近い距離も/飾り合うためのファッション/貞操乱して汚れているだけなのに〉という退廃的なメッセージから〈愛されたいんだ/このまま夜に/枯れる陽の中、眠り、逢えたら〉という慕情に至るまで、ありありとした感情が純度の高いままリスナーの心に伝わる親密なボーカルである。ローファイ・ヒップホップやシティポップを下敷きにした本楽曲のメロウなサウンドは、これからもっと多くのリスナーを魅了し、それぞれのチルな時間を演出してくれることであろう。

※1:https://audee.jp/voice/show/29867

■Z11
1990年生まれ、東京/清澄白河在住の音楽ライター。
一般企業に勤務しながら執筆活動中。音楽だけにとどまらず映画、書籍、アートなどカルチャー全般についてTwitterで発信。ブリの照り焼きを作らせたら右に出る者はいない。
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