大人も魅了するサンリオキャラクター、アイドルと芸人の活動に与える影響 寺嶋由芙×馬鹿よ貴方は 平井“ファラオ“光対談
寺嶋由芙が、3月2日に『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演し、「サンリオキャラクターの世界」を紹介した。大学では「ゆるキャラ」をテーマに卒業論文を発表し、家には5000以上ものグッズがずらり。真面目かつ情熱的なプレゼンテーションに、マツコ・デラックスも「またやばいのが出てきた」とニヤリとさせる展開に。
推しのポムポムプリンについてはもちろん、サンリオキャラクターの素晴らしさについて、“まだまだ語り足りないのでは?“と考えたリアルサウンドは、今回同じく芸能界屈指のサンリオ好きとして知られるお笑い芸人・馬鹿よ貴方はの平井“ファラオ“光と寺嶋の対談を企画。かわいいだけじゃない、サンリオの懐の広い魅力について、大いに語ってもらった。(佐藤結衣)【記事最後にプレゼント情報あり】
ツッコミ出したら止まらない個性溢れるキャラたち
――お二人はトークショーなどでも共演をされているんですよね?
寺嶋由芙(以下、寺嶋):はい。お久しぶりです!
平井“ファラオ“光(以下、ファラオ):いやー、こんな幸せな仕事ないですよね。いいんですか、これが仕事になっちゃって(笑)。
寺嶋:本当ですよ。推しについて語って、お仕事になってしまうなんて幸せすぎます。今日もよろしくお願いします!
――では、おさらいになってしまうところもあるかと思いますが、改めてサンリオにハマった背景からお聞かせください。
寺嶋:私は、母が“みんなのたあ坊”のヲタクで。地方銀行で発行された、たあ坊の通帳ほしさにわざわざ北海道まで遠征をするような母に育てられたので、なるべくしてサンリオ好きになりました。私は2人姉妹の姉で、もともとマイメロディちゃんとかマロンクリームちゃんとか、ピンク系のカワイイキャラクター担当、妹がけろけろけろっぴとかバッドばつ丸とかちょっとボーイッシュなキャラクター担当と、なんとなくのすみ分けがあったんです。だから、ポムポムプリンも最初は妹の担当だなと思っていたんですが、私もだんだん大人になって、「なんであのときちゃんと推せなかったんだ」という思いと共に今、取り返すようにヲタ活をしています(笑)。
ファラオ:(サンリオ好きの)サラブレッドですよね。逆に僕がハマったのは3年くらい前で。仲の良い芸人のカズレーザー(メイプル超合金)と飲みに行ったとき、思いつきで「ファラオさんがサンリオとか好きだったら面白そう」って言われたんです。まあ面白いだろうけど、絶対ハマらないだろうなと思ったんですよね。元々日本画とか渋いものが好きだったので。でも、帰宅して一応サンリオのホームページを覗いてみたんです。キャラクター一覧がズラーっと並んでいて、設定を見ていたら、めちゃくちゃツッコミどころが多いんですよ。ツッコミ出したら止まらなくて。懐かしさもあり、想像以上に可愛くもあり、そして芸人としても放っておけないボケが満載で……いろんな感情が入り混じった結果、気づいたらこの状態でした。だって、僕が一番好きなクロミ様は、らっきょうが好きなんですよ。ケーキとかじゃなくて、らっきょうって! なのに、最近ハマっていることは恋愛小説を読むって!
――そのギャップは惹かれますね。
ファラオ:サンリオのキャラクターって、みなさんが想像するようにパステルカラーのファンシーなキャラクターが多いと思うんですが、クロミ様は黒を基調としていておでこにドクロがついているんです。性格もツンデレで、クロミーズ5というレディースのヘッドなんですよ。いざというときのカリスマ性もすごくて。僕は昔から漫画を読んでいるときも「敵キャラがカッコいい」とか「ワルに憧れる」みたいなところがあったんですけど、そういう男心をくすぐるものがクロミ様には備わってるんですよね。ぜひアニメ『おねがいマイメロディ』を見てほしいです。そこでは「クロミパンク」っていう歌も披露していて。基本マイメロちゃんの悪口なんですけど、それがまたロックな感じでかっこいいんですよ。
寺嶋:曲、いいですよね。『おねがいマイメロディ』の音楽についてのテーマでも対談ができるくらい。
ファラオ:ぜひリアルサウンドさんでやりましょう(笑)。
サンリオが掲げる「みんな違って、みんなかわいい」
――ポムポムプリンの魅力についても、改めてお願いできますか?
寺嶋:プリンは、あまりにも無垢なんですよ。たぶん何も考えてないと思うんです(笑)。ときには自分がやりたいことを通すために周りに迷惑をかけてしまうこともあるんですけど、それも無邪気さゆえなんですよ。その自由さとか素直さ、真っ直ぐさみたいなものって、ずっとそのままではいられないと思うから。もう天然記念物のように「ありがたや」と拝みたくなる気持ちで。
ファラオ:あの瞳がすべてを物語っていますよね。あんな邪念を感じない目、なかなかない。あまりに無垢な人と出会ったときって、すごく内省する気持ちになる、あの感覚に近いですよね。そして、マツコさんも食いついたというあのお尻……。
寺嶋:私はプリンがお尻を出していることを、あまりにもナチュラルに受け入れすぎていたので、打ち合わせで「プリンの面白いこと何かありますかね?」って言われたときに、“これはもう全人類知ってるだろうな“と思いながら一応「お尻出してますよ」みたいな話をしたら、みなさんすごく驚かれて。あ、これ常識じゃなかったんだ、ってマツコさんの番組に出させていただいて気づけました(笑)。そもそもプリンはゴールデンレトリバーだってこととか、キティちゃんはネコじゃないってこととか、キキララちゃんはお星さまだってこととか……全人類の常識と思っていたので。
ファラオ:サンリオに慣れるとそうなりがちですよね。
寺嶋:なので、もう少し客観的に魅力を語りたいと思いながらも、やっぱり熱くならずにはいられないんですよね。あ、プリンの魅力、でしたよね。もうプリンに関しては、ずっと何かしてあげたいという気持ちでいます。今後も活動するためにグッズを買うことが支えになるなら買うし、会いに行って喜んでもらえるなら行くし、SNSで発信することが宣伝になるならするし……。とはいえ、別に私が何をしようがしまいが、プリンはプリンのままなんですよ。私も何かプリンにしてほしくて、見返りが欲しくてやっているわけじゃない。ただただしたいからする、みたいな気持ちにさせてくれるのが、すごく心地よくて。熱心な信者が布教活動をしながら、自分も救われていくみたいな感覚と近いかもしれない(笑)。
ファラオ:それ、一気に出すと引かれちゃうんですよね。特に僕は男じゃないですか。やっぱりまだ世間的にはサンリオ=女子向けというイメージが強いと思うので、世の男たちにこんなにかわいくて、憧れられるキャラクターがいるんだっていうのを、少しずつ広めて慣らしていこうと思っていて。今日も胸元にピンバッジをつけてきたんですが、不自然にならない程度にファッションとして取り入れていくことはやっています。
寺嶋:ファラオさんみたいな男性ファンのおかげで、サンリオピューロランドにも男性のお客さんが増えてきましたよね! サンリオさんの方でも「サンリオ愛してる男子オーディション」もやっていましたし、バレンタインの時期も「“女のコが男のコに”って決まりはないよね。ダニエルがキティちゃんにあげてもいいよね」みたいなテーマをナチュラルに取り入れていたし。世の中の流れが今こうだから……ではなく、「男性だから」「女性だから」みたいな心の鎧を自然に脱ぐことができるんですよね。『北風と太陽』の太陽みたいな。
ファラオ:それ、いい例えですね。
寺嶋:プリンをプリンのままでいさせてくれて、クロミ様がクロミ様らしい魅力を発揮できるようにしてくれて、本当「サンリオの世界ありがとう」っていう感じです。サンリオさんの歌(「メルのサンリオかわいいおぼえうた」)で〈みんな違って、みんなかわいい〉っていう歌詞があるんですけど、誰のことも否定しない、個性を大事にしてくれてるんですよね。
ファラオ:素晴らしい世界ですよね。さすがいちご王国……。
寺嶋:実は、今日も敬愛するいちごの王さまのペンダントしてるんですよ!
ファラオ:おー! さすがですね!
――すみません。いちごの王さまとは?
寺嶋:そうでした。いちごの王さまの偉大さを世間は知らないんでした……。
ファラオ:いちごの王さまは、キャラクター化されてますけど、厳密にいうとサンリオさんの創業者である辻信太郎さんがモデルなんです。若いころに戦争を経験していらっしゃるので、世界が平和であることや「みんな仲良く」を心から願う、説得力があるんですよね。
寺嶋:サンリオさんって、もともと雑貨を販売するお店だったんですが、なんの変哲もない雑貨にいちごやお花柄をつけたらすごく売れたんですって。そこから「かわいい」には力があるということに気づいて、キャラクタービジネスに移られたとお聞きしました。なので、いちごっていうモチーフをすごく大切にされているんですよ。ピューロランドにも、いちごがたくさんありますよね。それに、真ん中のフロアにあるモニュメントが「知恵の木」という名前なのも、最高じゃないですか。人にやさしくしたり、思いやりを持って接するには「知恵」が必要なんだって伝えてくれるんですよ。ただ「かわいい」だけじゃなく、そこには知恵と確固たるスピリットがある。これはアイドルとしても多く学ばせてもらったところです。
ファラオ:ピューロランドを現実逃避の場所と思われる人も多いかもしれないですけど、全然そんなことないですよね。むしろすごく現実を踏まえたショーやパレードをしている。現実から目をそむけず、その上で夢を抱けるような世界観に、僕はロック魂というか、ブレない芯を感じて、しびれます。
寺嶋:特にこのコロナ禍は、それを感じましたね。今ピューロランドでは30周年のパレード(「Hello, New World ~虹を、つなごう~」)をやっているんですが、シナモンが休館をしていたころについて語るシーンがあるんですよ。
ファラオ:パレードで盛り上がっているときに、ビービー! って警告音が鳴るんですよね。「ソーシャルディスタンス!」ってなって、みんなが触れ合えなくて悲しんでるくだりもありましたね。今の我々と同じように、みんなも苦しんでいるんだっていうのが、老若男女問わずシンプルに伝わる。
寺嶋:みんな夢の中の住人じゃなくて、私たちと同じ世界にいるんだって思えるし、同じように悩み、苦しんだ期間を経て今こうやって頑張っている姿を見ると、私も頑張らなきゃって思えるんですよね。私も自分のステージを見に来てくれた方が「今は全部忘れてゆっふぃーのことだけ見る」というよりも、「今日ゆっふぃーに会えたから明日も頑張ろう」って元気が出るような、人生のセーブポイントになりたいなって思いました。
ファラオ:僕も、サンリオさんの伝えてくれるメッセージが、シンプルかつ絶対的なので、物事の本質というか、変にひねくれてカッコつける必要ないんだなみたいなころを学びましたね。サンリオ好きになって、芸人としても、人としても、2〜3レベルぐらい成長したんじゃないかなと、自分で思えるようになりました。