yama、くじらなど参加する謎のプロジェクト“MAISONdes”とは? 若者の孤独や憂鬱に寄り添う音楽的コンセプトを考察

 音楽を発表する/聴くのがインターネット上で完結するようになった昨今、ウェブでの自主創作を中心に活動するアーティストの作品が、メインストリームのチャートを賑わせることも増えてきた。「春を告げる」で大ブレイクを果たしたyamaや、「うっせぇわ」が大ヒット中のAdo、「寄り酔い」で注目を集める和ぬかなどがその例だ。いずれもハイセンスなサウンドと独特の歌詞で多くの若者たちの共感を呼んでいる。そんななか、そうした流れを汲む新しい台風の目になりそうな存在が現れた。それが”MAISONdes”(メゾン・デ)だ。

MAISONdesの窓 / About MAISONdes’ windows

 巷ではすでに「MAISONdesって誰?」「yamaや泣き虫とコラボするなんてすごい!」と話題になっているものの、未だその全貌は明らかにされておらず、実態は謎めいていることから、MAISONdesという新人アーティストがいるのだと勘違いしている者もいるようだ。そこで当記事では、突如発足した謎の存在・MAISONdesとは何なのか。そして、このMAISONdesへの期待を記しておきたい。

MAISONdesとは”どこかにあるアパート”?

 ネット上で確認できる情報によれば、MAISONdesとは”どこかにあるアパート”らしい。そのアパートには部屋がいくつもあり、部屋にはそれぞれ人が住んでいるという。YouTubeにアップされている作品はすべてドアを開くアニメーションからスタートしており、作品ごとに部屋番号が異なっていることから、作品はそこで描かれる主人公たち(アパートの住人?)の生活を覗くような設定なのだと考えられる。各種SNSはそのアパートの管理人によって投稿されていて、随時入居者も募集しているのだとか。

 たとえば3月31日に発表された「本当は夜の端まで、」は、シティポップ系のナイトグルーヴなサウンドに乗せて主人公の胸の奥に潜むドロドロとした感情をエモーショナルなボーカルワークで歌い上げている。曲は「春を告げる」の作者・くじらによるもの。くじら特有のグルーヴィーなサウンドと生々しい歌詞表現によって、どことなく闇を抱えた若者像が浮かび上がってくる一曲だ。

本当は夜の端まで、 feat. おおお, くじら / MAISONdes

 概要欄には「“MAISONdes”は、どこかにあるアパート。六畳半の部屋が沢山。それぞれの部屋の窓を覗き見ると、それぞれ違う景色が見える様に、それぞれの住人にはそれぞれの物語と歌がある」と記載されている。まさに都会のアパートで暮らす若者の鬱屈とした心情がこの一曲に表現されているかのようだ。

 今年2月に一作目としてyamaと泣き虫による「Hello/Hello」が公開され、3月にはさとうもかとくじらによる「For ten minutes, for a hundred yen」がリリース。現在は先述の「本当は夜の端まで、」含め合計3曲が発表されている。参加しているのはyamaやさとうもか、泣き虫といった近頃ストリーミングサービス上でチャートを賑わせている新世代アーティストたちで、どの作品もここでしか見れないコラボばかり。ビジュアルはすべてイラストレーターのNAKAKI PANTZが担当し、すべて一貫したイメージで統一されているのも面白い。「どこかのアパート、六畳半」という同じ舞台設定の世界観をそれぞれの作り手/歌い手がどう表現するか、という視点で楽しむこともできる。

[Full] Hello/Hello feat. yama, 泣き虫☔️ / MAISONdes

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