『CONNECTED OVER THE DIMENSION コンピレーションCD』インタビュー

KMNZ×ORESAMA特別対談 バーチャルとリアルの垣根を感じない“ぶつかりあい”の音楽制作

 2020年8から9月に渋谷の展示スペース「3.5D」で開催された『CONNECTED OVER THE DIMENSION』展。そのコンピレーションアルバム『CONNECTED OVER THE DIMENSION』が発売される。リアルサウンドでは、KMNZと春猿火の2組へのインタビューに続いて、今作でコラボ曲「ファジータウン」を制作したKMNZとORESAMAの対談を行った。「次元を超えても、繋がる私たち」という展示のテーマに沿うように、二次元/三次元のアーティストによるコラボレーションによって完成した同曲について聞いた。(編集部)

ファジータウン / KMNZ × ORESAMA

バーチャルとリアルの垣根は全然感じません

ぽん(ORESAMA):小島くんはレコーディングでデイレクションも担当していたんですけど、私はKMNZのお2人とは、直接話すのは今日が初めてなんですよね。

小島英也(ORESAMA):ああ、そうか!

LITA(KMNZ):そうだ!

LIZ(KMNZ):よろしくお願いします!

――まずはお互いのことを知ったきっかけや、そのとき感じた魅力などがあれば教えてもらえますか?

LITA:私は今回の「ファジータウン」でコラボすることが決まってからORESAMAさんの曲を初めて聴いたんですけど、色んなタイプの曲があってすごいなぁと思いました。80年代のディスコが現代風にアップデートされていて、「懐かし新しい」みたいな、めちゃくちゃお洒落だと思うんです。特に私は、「Morning Call」と、「Dressup cover」(昨年はじまったセルフカバーシリーズ)もされている「カラクリ」が好きですね。高い声の女性が出す低い声が好きなんで、「カラクリ」のぽんさんの歌が艶っぽくて好きです。

ぽん:マニアックですね(笑)。

LITA:ほんとですか?(笑)。トラックで言うと「秘密」が好きで、このトラックにめちゃめちゃ「ラップを乗せたい!」と思いました。

LIZ:聴いてみたい!

LITA: 「秘密」のぽんさんは、ちょっとラップ的な、ポエトリーリーディングっぽい歌い方をしていますよね。もう何でもできる人なんだなぁ、と。

LIZ:私は、KMNZチームのプロデューサーの方に「こんなお洒落なユニットがあるよ」と教えてもらったのが最初に知るきっかけだったと思います。どの曲を聴いても、ORESAMAの曲だと分かる雰囲気があって、すごく羨ましいなぁと思っていました。「いいなぁ、それ!」って。

LITA:それってすごく大事なことですよね。

LIZ:最初に聴いたのが「オオカミハート」で、それが好きでずっと聴いてました。

――特にどんなところに魅力を感じました?

LIZ:うーん、やっぱり――。

ぽん:(LIZさんの話す)声がめちゃくちゃかわいい……!

全員:(笑)。

LITA:聞き慣れ過ぎて、LIZの声がかわいいのを忘れてました。

LIZ:(笑)。いや、でも私はぽんさんの声がすごくかわいいと思っていて、しかも、「かわいい」と言って想像するのとはちょっと違う「かわいい」だと思うんです。そこが好き。

LITA:分かる! それに、ORESAMAの曲はどの曲もよくて……「スタッフも知ってたんなら、早く教えろよ!」という感じでした(笑)。

――ORESAMAの2人はどうでしょう?

ぽん:私も今回のコラボのお話をいただいてから、初めてKMNZさんの曲を聴かせていただきました。小島くんはどうだったの?

小島:僕は3年ほど前に「VR - Virtual Reality」を聴いたことがありました。でも、そのときは曲から入ったので、2人がバーチャルな存在だとは知らなかったんですよ。

LITA:それが一番嬉しいですよ!

小島:「『VR - Virtual Reality』という曲がすごい」という話を聞いて、実際に聴いてみたらたたみかけるようなクールなラップがはじまって、「かっこいいアーティストが登場してきたな」と思ったのを覚えています。

ぽん: LITAさんのかっこいい声と、LIZさんの可愛らしい声のバランスが素晴らしいし、役割分担がしっかりしていて、聴いていてすごく病みつきになりますよね。

LITA&LIZ:(照れながら)えへへへへ。

ぽん:中でも、私は「GALAXY」が好きでした。聴き終わったあとに自然と前向きになれる感覚があって、グッとくると同時に心がスッキリするというか。この曲の魅力を広げるMVがクラウドファンディングだったというのも、ファンの方の愛や期待を感じるようで素敵だと思いまったことでした。

――大事な話かもしれないので聞かせてもらいたいんですが、KMNZにとって、バーチャル/リアルの垣根を意識せずに曲を楽しんでもらうのは大切なことだと思いますか?

LIZ:めちゃくちゃ大事です。それって、純粋に「音楽を楽しんでくれている」ということだと思うので。

LITA:「VTuberって、二次元が好きな人じゃないと楽しめないんじゃないか」という偏見がまだまだあって、中にはVTuberというだけでとっつきにくいと感じる人もいると思うんです。そんな中で、音楽を通して私たちを知ってくれて、「バーチャルだとは知らなかった」と言ってもらえることって、実は一番の誉め言葉なんじゃないかとも思っていて。 

小島:なるほど。

LITA:そうやって音楽を通して色んな人と繋がったり、VTuber文化を広めていくことで、バーチャルとリアルの境目が薄くなっていったらいいな、と思います。「二次元に詳しくなくても、誰でも入ってきていい文化なんだよ!」ということが伝えられたらいいな、と。

小島:僕も、リアルでもバーチャルでも、あまり垣根は感じていなくて、今回制作していても、ひとつのアーティストとしてまったく違いはないのかな、と思います。

ぽん: ORESAMAがボーカリストとコラボレーションをするのは今回が初めてなんですけど、実際に制作をしていても、バーチャルとリアルの垣根は全然感じませんでした。VTuber文化というものが、自分にとってかなり馴染み深くなっていることもあるんだと思いますけど、LITAさんとLIZさんが二次元の見た目をしていても、やっぱりひとりの人として見てしまうというか。歌や言動、見せ方も含めて、キャラクター性があるにしても、その人自身の魅力に魅せられているので、その垣根ってもうないんじゃないかな、と思います。

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