タイトルの「Luv Bias」とは、直訳すれば“愛の偏り”だろうか。そのテーマを分かりやすく歌っているのがサビの歌詞〈どうにも出来ないことがあるとすれば痛むほど／君のことしか考えられない〉だ。サビの背後で微かに聴こえるソウルフルなコーラスに、ここで歌われる主人公の抱える“痛み”を感じる。君のことで頭がいっぱいになった主人公の思いの強さを表現した1曲と言えるだろう。しかしテーマからイメージされるある種の重さのようなものはなく、むしろ逆に全体的に爽やかに仕上げている印象だ。主人公が抱く君への愛の深さを美しく描いている。

　一方で、カップリング曲の「Big Wave」は英語詞を多用したエレクトロニックなダンスナンバー。繊細なバラードの表題曲とは打って変わって、こちらは〈流れに任せて／飛び込もう！〉と歌って弾ける解放的な1曲だ。美しく爽やかなバラードと、軽やかなダンスチューン。両曲でバランスの取れたシングル作品である。

■荻原梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
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