THREE1989はアップデートを恐れない メジャーデビュー配信ベストアルバムで導き出した“現代に踊るための最適解”

 2010年代後半以降、世界的なファンクブームと共鳴するように、ここ日本でもグルーヴィーな作法を打ち出すバンドやグループが次々に登場。中でも今日まで異彩を放ち続けているのが、2016年デビューのTHREE1989(読み:スリー)。西暦1989年の3人で結成され、一貫したダンスミュージック趣味が清々しさを運ぶ音楽グループだ。そんなTHREE1989は先頃、およそ5年のキャリアをまとめたグループ初のベストアルバム『THE BEST THREE1989 -Don't Forget Dancing-』をリリースし、めでたくメジャーデビューを達成。avex内のレーベル<rhythm zone>からの再出発ということで、彼らの持ち味がよりスタイリッシュに高められていく未来を早くも予感させる。

 まず伝えておきたいのは、THREE1989はアップデートを恐れないグループであるということ。ボーカルに加えて作詞作曲も務めるShohey、スクラッチとサンプラーを用いた愉快なプレイスタイルを有するDJ兼リーダーのDatch、そしてキーボード担当でありながら演奏楽器はドラムやギターと多岐に渡るShimoというミニマムにして多才なメンバー編成は、バンドスタイルからクラブ向けアプローチまで幅広いライブ趣旨に対応。場所を選ぶことなくオーディエンスを沸かせられるということは当然、鳴らすサウンドの改善機会にも恵まれるわけで、当のメジャーデビュー作『THE BEST THREE1989』にはリアレンジやボーカルの再録音という形で、彼らが実演の末に導き出した“現代に踊るための最適解”が反映されている。

 音楽的なバックボーンにもやはり、THREE1989独自のアップデートの精神は息づいている。ソウルミュージックやダンスクラシックなど、主に1970年代から1990年代にかけて流行した音楽をモチーフにする基本姿勢もさりながら、フレッシュな聴き心地の塗り替えにも常に余念がなく、ロック、UKガラージ、果ては歌謡曲まで、これまでにあらゆるジャンルを颯爽と横断してきた。よって、THREE1989が奏でる音はモダンでありながらどこか懐かしい。爽やかな色気を纏うShoheyのボーカルも、現代と前時代を仲介する案内人として心地よい機能を果たしているように思う。

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