般若、全身全霊で表現したラッパーとしての決意ーー新レーベル設立も発表された“初”無観客ライブ

 最後に照明が明るくなり、歌い出す般若。些細な情景まで覚えている程に過去を大切にしながらも、過去に生きるのではなく前進する決意を歌ったキャッチーな曲だ。逞しい両手でマイクを握り、前傾姿勢で薄く目を開けて叫ぶ般若の顔は、険しいとも勇ましいとも形容し難い表情になっている。このライブの様子はABEMAのアーカイブに1月24日の21時まで視聴可能だ。「覚えてる」のミュージックビデオは多く般若の作品を撮っている金允洙監督によるもので、1人の退屈な人生を送る冴えない男が舞台に立たされるストーリー仕立てとなっている。般若自身、ラッパーだけでなく俳優としても成功し始めており、1月29からは阪元裕吾監督作品の映画『ある用務員』が、2月21日には脚本・監督:品川ヒロシでロバートの秋山竜次も共演するオムニバス映画『半径1メートルの君~上を向いて歩こう~』の公開が控えている。俳優業も今後の活動の新機軸とする意思が、エンタープライズという名前に表れているのは明らかだ。

 では、昭和レコードは今後どうなるのか。2020年日本語ラップシーンにおいて群を抜いたセールスを誇った『新小岩』を出したZORNは、リリース直前に昭和レコードを卒業している。主宰者の般若が抜けたなら残されるのはSHINGO★西成のみである。今後の般若および、<やっちゃったエンタープライズ>の活躍はもちろん、昭和レコード及びSHINGO★西成の動向にも注目があつまることであろう。

■斎井直史
学生時代、卒論を口実に音楽業界の色んな方々に迫った結果、OTOTOYに辿り着いてお手伝いを数ヶ月。そこで記事の書き方を教わり、卒業後も寄稿を続け、「斎井直史のパンチライン・オブ・ザ・マンス」を連載中。趣味で英語通訳と下手クソDJ。読みやすい文を目指してます。

■ライブ情報
Abemaライブ、アーカイブの情報
「般若 緊急生LIVE」
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※無料視聴は2021年1月24日21時まで。以降はABEMAプレミアム会員は視聴可能。

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「覚えてる」
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