『アイドル楽曲大賞2020』(メジャー編)

“歌の力”が試された2020年ーー論客4名が語る、コロナ下のアイドルシーンで生まれた大きな変化

外側に波及する回路を持っているかどうか

ーー先ほどから話題に挙がっていますが、夏のアイドルフェスがオンラインで開催されました。2020年のアイドルシーンを語る上で外せないトピックです。

ガリバー:『TIFオンライン』は、オンラインだったからこそ、ももクロもグループとしては第1回ぶりの出演を果たし、乃木坂46も、エビ中も、でんぱ組.incも同時に出れたと思うんです。あれがリアルだったら全組は出れてはいなかったと思うんですよね。出れていたとしても、入場規制等のオペレーションの問題で全員が観れたとは限らない。だからこそ、オンラインの方がより広く楽曲に触れられる、観てもらえる可能性があったりするのかなと思います。一方で、『@JAM ONLINE FESTIVAL 2020』はチケットの売り方が良くなかったですよね。

宗像:ステージ毎にチケットを切っちゃったじゃないですか。そこの問題を乗り越えたのが『TIFオンライン』で、全ステージ共通のチケットを売っていた。あれが正解なんですよね。いろいろ言われていますが、僕は大成功だったと思います。現場に行っても感染症対策を徹底していて、これでクラスターが発生したらどうしようもないってレベルまでやっていたので。『TIFオンライン』は最後の希望みたいなところはありました。結局オフラインでできないのであればオンラインでやっていくしかないと。みんなが腹をくくって、ライブは出来るようになったらやりましょうと。この冬の時期はライブが自由にできることなった時への、下地作りをやっておかないと逆にまずい。カルチャー的に完全に衰退を起こします。持続可能なフレームを作れるところが一番強いという話になります。

ーーこのような厳しい情勢ですが、今年も2021年のメジャーアイドルに期待することを聞かせてください。

岡島:去年はニューカマーについていくつかグループを挙げられたんですけど、今年はどうなんでしょう。

宗像:メジャー勢がそれほど台頭してないんですよ。

岡島:去年は今年メジャーデビューするということで鶯籠、CY8ERを挙げたんですが。CY8ERは解散してしまうということで。

ガリバー:今年メジャーデビューした感じがないですよね。鶯籠はコロナ禍の状況でも果敢にアグレッシヴにライブ活動を、ライブハウス等の場所に囚われることなく展開していたのが印象的なので、その活動が2021年に繋がって欲しいです。

宗像:パラダイムシフトが起きづらい年でしたよね。いい楽曲を作って、パフォーマンスがいいところ、オンライン映えするところ、YouTubeが強いところが上位にくる。要は外側に波及する回路を持っているかどうかで変わってしまう。

ガリバー:BiSHを代表するWACKのファンには近年『アイドル楽曲大賞』に参加してもらえていないので、ランキングにはなかなか反映されていませんけど、確実に新興勢力としてはマスメディアの中でポジションを確立したんじゃないかなと思います。インディーズから這い上がって、今もメジャーで確固たる地位を築いているのが素晴らしいですし、前向きな光ですよね。

岡島:単純にコロナ禍で、アイドルになりたいと思う女の子が格段に減りますよね。来年は新しいグループもなかなか出てきづらいんだろうなと思います。人材が別のところに流れていくんだろうなと。ライブアイドルブームって、言ってしまえばなろうと思えばなれたのが大きかった。それがなくなっていくのはやばいなと。後々に影響が出てくる。

宗像:今、一番可愛い子を抱えているのはYouTuberの事務所っていう問題があるんですよね。アイドルになっている子がオーディションを受けていたわけじゃないという変化が起きているので。

岡島:明るい話題はないですかね……。

ピロスエ:明るい話題ありますよ。宮本佳林ちゃんがJuice=Juiceを卒業して、来年は『アイドル楽曲大賞』の方にノミネートされることになるんですよね。

宗像:ピロスエさん。来年の1位は決まってますよ。僕のインタビューにインスピレーションを受けて竹内まりやさんが書いた、広末涼子さんの「キミの笑顔」です。僕がHTML書き換えても1位に入れるんで。

ピロスエ:じゃあ僕が先に書き換えて佳林ちゃん1位にするんで! 負けないぞ!

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