連載「EXILE MUSIC HISTORY」第3回:DJ KIRA
EXILE MAKIDAI 連載「EXILE MUSIC HISTORY」第3回:DJ KIRAと語り合う、ダンサーのためのトラックメイキング
Jr.EXILE世代と触れ合うことで引き出しが増えた
MAKIDAI:量的な意味で大変だった仕事はなんですか?
KIRA:2年前の『BATTLE OF TOKYO 〜ENTER THE Jr.EXILE〜』で作った、Jr.EXILE世代全員のソロダンス曲。あれが20年間で一番きつかった(笑)。Jr.EXILE世代になると、まだ僕があまり個性や特技を把握していないダンサーもいるんです。MAKIDAIとかÜSA、まっちゃん(松本利夫)なら長い付き合いだし、話しているだけで意図が汲めるんだけど、まだあまりわからない人たちの32曲を作るのはすごく難しかったです。
MAKIDAI:被らないようにもしなきゃいけないしね。でもKIRAがそこまでJr.EXILE世代と携わっていたというのは、初めて聞いたのでびっくりしました。
KIRA:オーダーだけだと同じ内容の人が5人くらいいて、これはもう現場に行って確かめるしかない、という感じでした。それに、ダンサーごとに楽曲のイメージの棲み分けをすると、どうしてもテンション感が違ってくるじゃないですか。こちらとしては、あえてそうしているんですけれど、ダンサーからは「もっとテンションが欲しい」と始まってしまう。もう単純に人数がすごいですから。
MAKIDAI:番手や特性もあるし、起承転結がないと全部同じになっちゃうから。引いたり、足したり。でも展開も付けたくなったり。
KIRA:それからトラップの流行を痛感しました。ダンサーだから、決めとかハメ音が欲しいというオーダーは必ずあるんだけど、そのパターンには限りがあるんですよね。そこが非常に特殊なところで、普通のフィルとかではない、ダンサー用のハメの引き出しをもっと持っていなきゃいけない。
MAKIDAI:レコードストップだったり、バックスピンだったりばかりだと王道すぎるし「はい、ハメにいきますよ」という感じだと良くないし。でも、Jr.EXILE世代と触れ合うことで引き出しが増えたんじゃないですか。
KIRA:完全に増えました。こんなに良い経験ができるとは思わなかったです。
MAKIDAI:このポジティブ変換ね。大変なこともを「よっしゃ! いい経験だ」と捉えて乗り越えていけるから、KIRAはずっとトラックメイカーを続けていけるのかなと思います。
KIRA:やっぱりもっとハードワークなHIROさんやMAKIDAIを近くで見ているからね(笑)。全然それくらいは大丈夫。
MAKIDAI:いやいや(笑)。EXILEの始まりから今までもそうですけれど、これから先の未来を考える上でもKIRAという存在は、我々にとってすごく大きい存在だなと感じています。
KIRA:ありがとうございます。僕にとってもEXILEは始まりであると同時に、ずっと循環して続いているような大きな存在です。皆さんから刺激も受けて自分も発奮して、さらにもっとやらなきゃと思います。それをずっと20年間やれてきたので、大げさかもしれないですけれど自分にとっては命に等しい存在なのかなって。EXILEとの出会いがなかったら、自分がどういう人生を送っていたのか、想像するだけで本当に怖い(笑)。心から感謝しています。
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