1stアーティストブック『まじめ』
寺嶋由芙が明かす、モーニング娘。への憧れと“アイドル”という夢 早稲田大学進学に至った経緯も
アイドルになっているはずが、気づいたら早大生に
ーー周囲にはオーディションを受けていることは話していたんでしょうか?
寺嶋:いいえ、高校生になると自分でいろいろと情報収集もできるようになりましたし、東京のオーディションにも1人で行くことができたので、親にも友達にも言わずに色々と受けていました。正直、落ちたことを話すのも恥ずかしいし、受かったら事後報告でいいかなと(笑)。あと、通っていた高校が進学校だったのもあって。自由な校風ではありましたが、みんなが真剣に大学進学のことを考えている時に、私は「高校生のうちにアイドルになるから進学のことを考えてもしょうがない」って本音も言いにくくて。でも、そうこうしているうちに3年生になっちゃったんですよ。
ーーアイドルになっているはずだったのに「おかしいな」と?
寺嶋:「おや? なってないぞ?」と(笑)。大学のことよりアイドルのことばかり考えていた私は、なかなか志望校を決めきれず……慌ててオープンキャンパスに行って、いろんな大学を見て回りました。最終的に、早稲田大学に決めたのは、もちろん学びたかった分野が充実していたことや校風もありますが、恩師に「由芙さんに似合うと思う」と勧められたことや、アイドルになってから活動しやすいように東京の大学が良かったということ、そして祖父が箱根駅伝を好きだったからというのも大きいです。中学生の時から、お正月は毎年一緒に観戦しに行っていたんです。一緒に母校を応援できたら楽しいだろうな、と思って。で、夏までは勉強漬けでアイドルに繋がりそうなことはできずにいたら、秋になって、思いがけず推薦のお話をいただけることになり。真面目な性格がゆえに定期テストだけは毎回しっかり勉強していたので、自分で言うのもなんですが通知表の成績が良くて。
ーーお祖父様には喜ばれましたか?
寺嶋:はい、とっても(笑)。今でも毎年一緒に応援しに行っています。
ーー文学部に進んだのは、もともと本を読むのが好きだったからですか?
寺嶋:はい。読書も好きでしたし、小学校から高校まで、良い先生に恵まれて、とにかくずっと国語の授業が好きだったので、ずっと国語教育に関わっていたい、そのためには国語教員の資格を取りたいと思っていました。教育学より、国語そのものが学びたかったから、教育学部じゃなくて文学部だなと。アイドルになりたいという夢よりは、「外向けの夢」として言いやすかったので、進路を選ぶ時の基準にもしやすかった。当時、国語の授業がきっかけで安部公房の作品が気になっていて。それまでは、起承転結があるわかりやすい本を読むのが好きだったんですが、高校生のときにそんな単純なものではない本に初めて触れて。あの「わかるようでわからない」ものをわかるようになりたかったのもあり、文学部を選びました。
ーーわかるようになったのでしょうか?
寺嶋:全然なっていないです! それどころか、ゆるキャラの論文で卒業しましたから(笑)。安部公房を専門に研究している教授の授業はすごく楽しくて、熱心に受講していたので、「なんで卒論はそっちを選んだんですか?」って不思議がられました(笑)。ただ、高校生までの勉強は「正解を教わるもの」だったけれど、大学で出会った教授や友人も「私はこう思うんだ!」という思いと、それを論理的に説明して納得させるための知識や表現力がすごかったんです。だから私も、そうやって私なりの正解を出して、それを周りの人に納得してもらえるように伝えていくしかないんだ、と学んだ気がします。
ーーそんな学びの多い大学生生活の中でも、アイドルへの夢は続いていたんですよね?
寺嶋:はい、相変わらず受けては落ちて……の繰り返しでした。高校卒業直前の春休み、友達と原宿を歩いていたときにスカウトされたんです。声をかけられることで有名な通りだって知らなかったから、すごく浮かれて「私やっぱりアイドルやるべきじゃん! 求められてるじゃん!」って自信を取り戻しました。あのとき、声をかけてくれた方々、ありがとうございました(笑)。実は、その時とても熱心に誘ってくださった1社に登録させてもらったんです。が、結局1年経っても何もお仕事の話が来なくて。その1年を経験して「待っているだけじゃなくて自分で動いていかなくちゃダメなんだ」ということも学びました。その事務所を辞めて、自分で動き出すことにしたんです。
ーーその事務所とは、それっきりですか?
寺嶋:これは、ちょっとした余談なんですが、実は一昨年くらいに原宿を歩いていたら、なんと同じ人にスカウトされたんです(笑)。まさかの再会で、私もなんだか嬉しくなっちゃって。しかも私のことを覚えててくださって、「『うちはあの寺嶋由芙ちゃんがいた事務所だよ』って宣伝させてもらってます」と言われました(笑)。
<続きはアーティストブック『まじめ』にて>
■販売情報
タイトル:『まじめ』
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ISBN:978-4-909852-11-3
C0072
撮影:勝岡ももこ、サトウノブタカ(五十音順)
発売日:2020年12月19日(土)
価格:¥3,000(税抜)
発売元:株式会社blueprint
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価格:¥3,000(税抜)
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■イベント情報
寺嶋由芙 1st ARTIST BOOK『まじめ』発売記念サイン会
日時:2020年12月19日(土)13時~
場所:芳林堂書店高田馬場店8Fイベントホール
イベント内容:サイン会
参加方法などの詳細は書店HPにて