円神-エンジン-、デビューステージでみせた“天下を獲る”気概 舞台『nonagon~始まりの音~』レポ
舞台と向き合った僅か1カ月で、9人は覚悟を決めてきたのであろう。その自信は、個性を活かした配役からも溢れ出ていた。ザ・いい声の草地稜之と声優経験のある熊澤歩哉が暗転のなかで行った声だけの芝居は、まさしくそんな例のひとつ。円神という役者チームの秘めた実力を誇示すると共に、個人でも闘えるプレイヤーであることをまじまじと証明してみせたのだ。
多くの感動を生み出し、全11公演を完走した『nonagon~始まりの音~』。この舞台が「円神って何をやるグループなの?」という疑問を払拭したことは、言うまでもないだろう。なんでもやっていくのだ、円神と呼ばれる9人は。歌やダンス、演技だけに飽き足らず、殺陣や漫才、一発芸だってやってのける。音楽ジャンルだってポップスだけにこだわらず、ロックや童謡、EDMにだって挑んでいく。そして、すべてのことを己の血とし肉とし、己の持つ円(影響力)を次第に大きくしていくのだ。光射すほうへ、歩き出した9人の活躍がすでに楽しみでたまらない。
■坂井彩花
ライター/キュレーター。1991年生まれ。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。Rolling Stone Japan Web、EMTGマガジン、ferrerなどで執筆。